動物愛護シンポジウム「STAND UP FOR ANIMALS〜2025年法改正に向けて〜」レポートと感想

動物愛護シンポジウム「STAND UP FOR ANIMALS〜2025年法改正に向けて〜」報告
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目次

動物愛護シンポジウム「STAND UP FOR ANIMALS〜2025年法改正に向けて〜」を聞いてきました

動物愛護シンポジウム「STAND UP FOR ANIMALS〜2025年法改正に向けて〜」報告
動物愛護シンポジウム「STAND UP FOR ANIMALS〜2025年法改正に向けて〜」報告

2025年4月21日(日)大宮で開催された、動物たちのために第一線で活躍する超一流の講師陣。

  • 犬猫を含めた動物たちの悲惨な現状やなすべきこと
  • 次期動物愛護法改正に向けてどのような改善ができるか

など、それぞれの人が動物たちのために何をなすべきか、何をできるかを、考えるイベントでした。

日 程2024年4月21日(日)
時 間12時~16時
会場大宮レイボックホール 7階 大ホール
住所埼玉県さいたま市大宮区大門町2-118 大宮門街 7階
アクセスJR大宮駅 東口 徒歩3分
参加費大人 1000円 / 18歳以下 500円(当日会場にて現金支払い)
申し込み事前予約制

来場1100名ほどの盛大なイベントとなりました。

議員の方もたくさんいらっしゃっており、自治体とタッグを組んで動物行政を推し進める重要性を感じた一日でした。

本当に勉強になりました!

2025年の法改正に向けて具体的な動きは、2024年秋口ぐらいから環境省パブリックコメントがあると思います。一般の人が意見などを送れますのでぜひ!

何時間に渡る講習会で、どの方のお話も深く広く書ききれません。この記事ではわたしが印象に残った部分をかんたんにご紹介し、感想を書きます。1つずつのお話はまた別の機会に記事にしたいと思います。

※各講演者の項目に公式サイトなど参考になるリンクを貼っておきました。正確な情報は必ずご自身にて確認をお願いします。

登壇メンバーとお話のまとめ

この日、講演するメンバーは、保護活動などの第一線で働いている方々ばかり。

杉本彩さま (公益財団法人動物環境・福祉協会EVA代表理事「動物虐待の現状と課題」
橋谷田元さま (埼玉県生活衛生課課長「殺処分ゼロ」に向けた埼玉県の取組と今後の課題 ~次期法改正に望むこと~
太田匡彦さま (朝日新聞記者・「犬を殺すのは誰か」著者「2019年の動愛法改正は「効いた」のか」
岡田千尋さま (認定NPO法人アニマルライツセンター代表理事「すべての人の未来に関わる動物の法律」
太田快作さま (ハナ動物病院院長・「犬部」主人公モデル(タイトルなし)

ご挨拶 

【主催】保護猫カフェねこかつ 代表 梅田達也様

▶埼玉県川越市にある保護猫カフェの「ねこかつ」は、2011年東日本大震災をきっかけにねこかつを立ち上げました。

▶ねこかつさんは、毎週末譲渡会に加えて、随時大規模な譲渡会も開催。年間500匹ほど譲渡しています。

これは、かなりすごい数だと思います。

▶ネットで里親募集をやっていなかった時代から、ペットショップの代わりになるものという思いでやってきた。

▶10年前にはなかった事象として、保護犬猫が広がってきたことで悪用する業者も現れてきた。

▶繁殖業者やペットショップが不要となった犬や猫を保護犬・保護猫と偽って販売しているだけかも。繁殖業者と協力関係にある下請け愛護団体へ恒常的に犬や猫が移動しているだけかも。

それを保護猫と言っていいのか?繁殖引退猫と別の名前をつけるべきかという議論もありますね。

埼玉県川越市のねこかつ公式サイトはこちら>>

◾️牧原 秀樹衆議院議員 超党派動物愛護連盟 埼玉5区 自民党  ご挨拶

「動物虐待の現状と課題」

杉本彩さま(公益財団法人動物環境・福祉協会EVA代表理事

抜群の知名度を活かして動物愛護/保護活動に尽力する杉本彩さんの講演は、さすがのパンチがありました。

▶2014年に設立したEvaは、動物の命の尊厳を守るため、動物福祉の向上を目指す活動をしてきました。

▶活動の一つは、動物愛護管理法の改正にかかわること。

EVAは、超党派の国会議員で発足した動物愛護議連のアドバイザリーとして、2019年の法改正に携わりました。

▶︎動物虐待事件についてのお話。
2021年長野県松本市犬の繁殖業者「アニマル桃太郎」が、900匹以上を劣悪な環境で飼育していたことが発覚。

  • 獣医師免許を持たぬ繁殖業者が無許可で帝王切開を行う
  • 犬452匹を衰弱させたとして虐待の罪で起訴。。など

▶︎2025年の法改正でEVAが目指すものはこちら>>

  • 幼齢動物の販売禁止
  • 動物取扱業への規制
  • 緊急一時保護制度→早急に救助が必要な場合、飼い主の所有権に関わらず緊急的に一時保護ができるように制度化

などなど。

公益財団法人動物環境・福祉協会EVA野活動についてはこちら>>

「殺処分ゼロ」に向けた埼玉県の取組み

橋谷田元さま(埼玉県生活衛生課課長

▶埼玉県では殺処分ゼロに向けて官民一体で取り組んでいます。

埼玉県の公式サイトより

▶埼玉県の犬猫殺処分については、令和5年時点で83まで殺処分が減りました。

▶この後、令和12年までに殺処分ゼロを目指したいけれども、この0っていうのは難しい問題がある。

▶どこでどこで線引きをするかは難しくて、例えば交通事故で運ばれてきた動物を苦しんでるまま放置して自然になくなれば殺処分にはならないが、安楽死させると殺処分になる。この辺の扱いが自治体によって違う。

▶営業権剥奪は業者の場合、できるけど、所有権の場合は剥奪ができない。

▶犯罪者でも所有権はあり、行政が保護不可。

▶生体販売からは買わないという消費書側の行動も大事。

埼玉県の犬猫の殺処分数の歩みの参考資料はこちら>>

平成14年度は犬が5,023頭、猫が5,628頭でした。令和元年度には、犬が86頭、猫が536頭となり、昨年、令和3年度は犬が11頭、猫が328頭と、ここまで埼玉県は減りました。

埼玉県の動物愛護行政についてはこちらから>>

「2019年の動愛法改正は「効いた」のか」

太田匡彦さま(朝日新聞記者・「犬を殺すのは誰か」著者

犬猫はペットショップなどに流通するとき、オークションを経ることが多いのを知っていますか?

▶(比較的オープンな)動物オークション関東ペットパークの取り組みなどを紹介。

▶朝日新聞のさすがの調査力で、たくさんのデータをもって動物ビジネスの現状を解説。

▶より小さく幼い生体のほうが高く売れるからと、誕生日を偽装する業者が後を絶たない、猫がもうかるからと参入する業者が多いことなど。

資料がすごかったです。いつかなにかの形でご紹介できたらいいなと。個人的には太田さんのお話が一番、身にしみました。

太田匡彦朝日新聞記者の活動がわかるX(Twitter)はこちら>>

◾️14:40〜埼玉県三郷市議員 三期目 佐々木おさむ氏 ご挨拶

「全ての人の未来に関わる動物の法律」

岡田千尋 NPO法人アニマルライツセンター代表理事

▶ペットとして飼われている犬や猫などの愛玩動物ばかりが注目されがちだが、家畜や実験動物などの状況も深刻であることを知るべき。

▶毛皮や食肉として養殖される動物たち。たとえば生まれてすぐに雄は残酷な方法で処分されてしまうヒヨコ。詰め込まれたケージで一生を過ごすニワトリの現状。苦痛の多い方法で食肉や毛皮にされる動物たちなど。

▶目を背けたくなる画像や動画も多かったのですが、知らなくては何も変えられないですね。

実は生きた動物をゆうパックで送れるの?

▶ちなみに魚介類、は虫類、昆虫類や小鳥などの小動物(哺乳類を除く)については、条件を満たしていれば、ゆうパックで送ることができます。悪用して生きた哺乳類を送る悪徳業者もいるようです。

▶このお話も衝撃的なものばかりです。いつか改めて記事を書きたいと思っています。

NPO法人アニマルライツセンターの活動についてはこちらから>>

■15:40〜小宮山泰子 川越市議員 立憲民主党 ご挨拶

太田快作獣医師(ハナ動物病院院長)

▶「殺処分ゼロ、未来へ」映画や漫画「犬部!」主人公モデルとなった太田氏は、斬新でユーモアで笑いを取りつつ、どういうふうにしたら理想の日本になるのか、青年のような夢と情熱にあふれた講演。

▶︎殺処分年1万5千匹を解決するには、日本人8000人で1年に一匹助ければいい。

動物に関する問題は一部の人だけでなく、オープンにしてみんなで議論すべき。

▶野生動物の駆除ー獣害、農作物被害、生態系の破壊が問題だが、殺せば良いは浅はか。アライグマやブラックバス、勝手に飼い始めて殺している現状も展示を。

▶傷病鳥獣…野生動物は手を出しちゃいけない?森の中なら正しいが、街の中で出会った、目の前の命を見て見ぬ振りをできない?助けるべきか否か、治療過程など、も展示、何が正しいのか考えること。

▶実験動物の是非ー多くの動物が人類の医学や科学の発展のために犠牲になっている、助けられるなら助けるべき。

▶畜産動物…生産性がなくなった動物は処分しているが、助けられるケースもあるのでは?

▶動物園大作戦ー全国各地のちょっと寂れた動物園、慣れなくて行き場のない野犬、野良猫、野犬野良猫動物園に。つまらなそう?見せ方次第では。
保護、研究、教育、娯楽が動物園の意義。ペットであるはずの犬猫がここにいる理由、愛護の歴史を子供達に伝える教育、動物がいてみんなで見て可愛いって言ってお弁当を食べられれば十分娯楽。

▶動物愛護基金ー今は全部自腹全国どこでも誰でも医療費も何も費用がかからないようにする。拾った人の責任じゃない。まずは民間で、うまくいったら国に譲渡するシステムを。

▶︎慶應義塾大学に日本初、動物を一匹も殺さない獣医学部を作ってほしい。動物福祉の基盤があり、超優秀な彼らは医学部の授業を受けたり、海外の大学の学生とつながったりで、確実に応募は殺到する。アメリカのウェスタン大学の場合、動物を一匹も殺さない動物福祉の研究室がある。それをモデルに。

わたしの母校、慶應義塾大学は獣医学部がないので、おもしろいアイデアかもしれませんね。けっこうウケました。

▶ちなみに、先生の家には25匹の保護猫がいて慣れてなくて触れない。

太田快作獣医師(ハナ動物病院院長)についてはこちら>>

終わりに

参加者1,100名の熱気ある愛護イベントでした。

大変勉強になったので来年以降も毎年ぜひ開催して、最新情報をアップデートしたいです。

とても良いイベントでした。

次回はぜひみんなに聞いてほしいです。

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この記事の執筆者 / 監修者

らみえる
らみえる
▷動物専門・ペット特化ライター&デザイナー
▷慶應義塾大学卒
▷会員制ねこ専用ホテル&シッター・キャッツカールトン代表
▷動物取扱責任者・愛玩動物飼養管理士
▷現在は猫4匹との暮らし。幼少時から犬、リス、うさぎ、鳥、金魚などさまざまな動物と過ごし、生き物を愛してやまない毎日。
▷前職は一般企業で広報、編集校正やってました。
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