「もし自分が倒れたら、この子はどうなるだろう。」
そう考えたとき、多くの人が思い浮かべるのは民間の見守りサービスや家族との連絡体制かもしれません。けれど実は、自治体にも「緊急通報システム」や「見守り機器の補助」「配食と安否確認を兼ねた制度」など、いざというときの発見を早める仕組みが用意されている場合があります。
ただし、制度の内容や条件は自治体ごとに大きく異なります。
「どこに聞けばいいのか分からない」「自分は対象になるのか分からない」と感じて、そのままになってしまうことも少なくありません。
この記事では、全国の自治体で行われている見守り制度の事例を整理しながら、
・どんな種類があるのか
・自分の自治体ではどう探せばいいのか
・窓口では何を聞けばいいのか
までを、できるだけ分かりやすくまとめます。
完璧な制度を見つけることが目的ではありません。
まずは「気づいてもらえる仕組みがあるかもしれない」と知ること。
それが、ペットを守る第一歩になります。
なぜ自治体の見守り制度を知っておく意味があるのか

見守りと聞くと、まず思い浮かぶのは民間サービスかもしれません。けれど実は、自治体にも「緊急通報」や「安否確認」「見守り機器の補助」といった制度が用意されていることがあります。
これらは高齢者支援を目的とした制度ですが、ペットと暮らしている人にとっても大きな意味を持ちます。なぜなら、自分の異変に早く気づいてもらえることが、そのままペットの安全につながるからです。
特に一人暮らしの場合、「発見までの時間」が最大のリスクになります。
民間サービスだけでなく、公的な制度も含めて選択肢を知っておくことは、備えの幅を広げることになります。
もちろん、制度の内容や対象条件は自治体によって異なります。
けれど、「あるかもしれない」と知っているだけで、行動は変わります。
自治体の見守り制度は大きく3タイプに分かれる
自治体の見守り制度は、名前や細かい条件こそ違いますが、仕組みとしては大きく3つのタイプに分けられます。
すべてを細かく覚える必要はありません。まずは「どんな仕組みがあるのか」を知るだけで十分です。
緊急通報型
自宅で倒れたときに、ボタンひとつで通報できるタイプが「緊急通報型」です。
ペンダント型や固定型の通報機器を設置し、異変があったときにコールセンターや協力員につながる仕組みです。在宅時間が長い方や、ペットと室内で過ごす時間が多い方に向いています。
例えば、多くの自治体で「高齢者緊急通報システム」という名称で導入されています。
自己負担が少額、あるいは無料の場合もあり、経済的負担を抑えながら備えられるのが特徴です。
横須賀市 緊急通報システムの設置
在宅中に倒れたときなど、自宅内の急変に備えたいペット飼い主と相性が良いタイプです。
固定型・ペンダント型などの通報装置を設置し、ボタンひとつで通報できるので、室内でペットと過ごす時間が長い方に向きます。
リンク:https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/2640/g_info/l100000549.html
新宿区 高齢者緊急通報システム
無線発報器(ペンダント等)に加え、ドアセンサーや火災警報器と連動した多機能型です。
ペットがいて火気使用が多い家庭でも、火災や外出状況の異常を検知しやすく、「人+ペットの安全」をまとめて守りやすい構成です。
リンク:https://www.city.shinjuku.lg.jp/fukushi/file05_02_00018.html
足立区 高齢者緊急通報システム(自己負担ゼロ)
ペンダント型ボタンで24時間センターに通報でき、自己負担ゼロで導入できるのがポイントです。
ペット関連の出費が多い世帯でも費用負担が少なく導入しやすく、「倒れて動けない」ケースのリスクを大きく下げられます。
リンク:https://www.city.adachi.tokyo.jp/senior/torikumi/shien.html
福岡市 緊急通報システム(協力員付き)
装置から通報するとオペレーターが状況確認し、必要に応じて協力員が自宅を訪問してくれる仕組みです。
ペットが家に残される不安が強い人でも、「人が来てくれる」前提なので、万一の際にペットの存在にも気づいてもらいやすい形です。
リンク:https://www.city.fukuoka.lg.jp/fukushi/oldage-welfare/health/00/03/3-020201.html
2. ICT・見守り機器タイプ(ペットを含めた生活リズム重視)
「一定時間動きがない」「電気の使用状況が急に変わった」といった生活リズムの変化から異常を察知するのが、ICT・センサー型の見守りです。
カメラや人感センサー、スマートメーターなどを活用し、家族へ通知が届く仕組みになっています。自治体によっては、こうした機器の利用料に補助を出しているケースもあります。
室内でペットと暮らしている場合、人の動きが止まることは大きな異変です。センサー型は「無反応」に気づけるという点で、発見を早める可能性があります。
横浜市 高齢者見守り・安否確認機器補助事業
民間の見守り機器(月額利用料)に対して上限1,000円の補助が出るため、カメラ・センサーなどペットの様子も見られる機器を選びやすいのが特徴です。
生活リズム検知や駆けつけ付きの民間サービスを選べるため、「人もペットもまとめて見守れるIoT機器」を導入したい人と相性が高い制度です。
リンク:https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigohoken-igai-service/zaitaku-yoengo-shien/mimamori.html
たつの市 ICTを使った高齢者の見守り機器購入費用助成
カメラ・センサーを含むICT機器の購入費用を補助する制度で、対象機器の自由度が比較的高いタイプです。
ペットカメラや見守りセンサー付き機器を選べば、外出中のペットの様子と本人の安否を同時に把握でき、ペット飼い主メリットが大きいです。
リンク:https://www.city.tatsuno.lg.jp/soshiki/1017/gyomu/konenfukushigakari/2/2/2035.html
七飯町(北海道) IT見守りシステム「いまイルモ」
人の動きや室内環境などをセンサーで把握するIT見守りシステムの導入事例です。
ペットの行動による微細な動きもデータに反映されるため、「人の動きが急に減る」「室内環境の変化」などから異変を検知しやすくなります。
リンク(紹介記事):https://hello.inc/news/article/municipalities/
蒲郡市(愛知県) スマートメーターを活用した見守り
電力スマートメーターの電気使用量の変化から、生活リズムの異常を検知する見守り事業です。
ペットのいる家庭はエアコンや照明の使い方が一定になりやすく、「急に電気使用が減る・増える」といった異常から早期発見が期待できます。
リンク(行政情報ポータル内紹介):https://ai-government-portal.com/
3. 配食・訪問型(人が来ることでペットにも目が届く)
人が定期的に訪問すること自体が見守りになるのが、配食・訪問型の制度です。
弁当の配達や定期訪問の際に利用者の様子を確認し、異変があれば連絡が入ります。
玄関先でペットの鳴き声や異常な気配に気づく可能性もあり、「人の目」が入る安心感があります。
特に、犬と暮らしている場合は散歩の頻度が生活リズムの一部になります。訪問型の仕組みは、日常の延長線上に見守りを組み込める点が強みです。
静岡市 配食型見守りサービス
定期的に弁当を届ける際に利用者の様子を確認する、配食+安否確認一体型のサービスです。
毎日のように人が玄関先まで来るため、「数日間倒れていた」「ペットだけが残された」といった事態の長期化を防ぎやすいのが利点です。
リンク:https://www.city.shizuoka.lg.jp/s2837/s002730.html
高松市 配食見守りサービス事業
登録された配食事業者が、弁当配達時に利用者の様子を確認し、異変時には関係機関へ連絡する仕組みです。
配達員は玄関先でペットの鳴き声や異常な室内の気配にも気づきやすく、ペットを含めた生活環境の異変キャッチに向いています。
リンク:https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/smph/kurashi/kenkou/koreisha_shien/mimamori/tyojyu_up20180827.html
自分の自治体で制度を探す方法

ここまで読んで、「うちの市町村にもあるのだろうか」と思った方もいるかもしれません。
制度は自治体ごとに大きく異なりますが、探し方にはコツがあります。難しく考えず、いくつかのポイントを押さえるだけで十分です。
まずは検索してみる
最初の一歩は、インターネット検索です。
次のように入力してみてください。
- 「高齢者 緊急通報 ○○市」
- 「見守り 機器 補助 ○○市」
- 「安否確認 一人暮らし ○○市」
- 「配食 見守り ○○市」
自治体の公式サイト内に掲載されていることが多く、PDF資料としてまとまっている場合もあります。
どの課に問い合わせる?
ホームページで見つからない場合は、直接問い合わせるのが確実です。
多くの場合、窓口は次のいずれかです。
- 高齢福祉課
- 介護保険課
- 地域包括支援センター
自治体代表番号に電話し、「高齢者の見守り制度について聞きたい」と伝えれば、担当課につないでもらえます。
電話での聞き方例
問い合わせる際は、難しく考える必要はありません。
たとえば、次のように伝えてみてください。
一人暮らしでペットを飼っています。
安否確認や緊急通報の制度はありますか?
対象年齢や利用条件を教えていただけますか?
「ペットがいる」という一言を添えることで、担当者も状況を理解しやすくなります。
制度を利用するときの注意点
制度を利用するときの注意点
自治体制度は安心材料になりますが、誰でも無条件に利用できるわけではありません。
- 年齢要件(65歳以上など)
- 要介護認定の有無
- 同居家族がいるかどうか
- 所得制限
こうした条件が設定されている場合があります。
また、申請書類や面談が必要になることもあります。
すぐに利用できないケースもあるため、「元気なうち」に情報だけでも確認しておくことが大切です。
まとめ:制度は地域差があっても、備えはつくれる

自治体の「高齢者見守り制度」は、地域によって内容が異なります。
けれど、「制度があるかもしれない」と知っているだけで、いざというときの選択肢は確実に広がります。
完璧な体制を整える必要はありません。
まずは、自分の自治体に制度があるかを調べてみること。
それだけでも、ペットを守る備えは一歩前に進みます。
「気づいてもらえる仕組み」があること。
それが、ペットの孤立を防ぐ土台になります。
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この記事の執筆者 / 監修者

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動物専門・ペット特化のWebライター・ディレクター・デザイナー。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、大手企業で広報や編集校正の仕事を経て、猫専門ペットホテル猫専門ペットホテル・キャッツカールトン横浜代表、動物取扱責任者、愛玩動物飼養管理士。
幼少期から犬やリス、うさぎ、鳥、金魚など、さまざまな動物と共に過ごし、現在は4匹の猫たちと暮らしています。デザインと言葉で動物の魅力を発信し、保護活動にもつなげていきたいと思っています。







