シャチってどんな生き物?生態・雑学・日本の水族館情報&名古屋の別れも紹介

シャチ
のこと。マルシェ兵庫ペット医療センター

本記事では、知れば知るほど面白い“海の王者”の魅力を徹底解説します。

目次

シャチの基本情報|見た目・分類・呼び名の秘密

シャチの基本情報

シャチといえば「白黒の体」「海の王者」というイメージが強いですが、実際にはどんな特徴や秘密を持っているのでしょうか。ここでは基本的な情報を整理してご紹介します。

哺乳類でありながら海に住む“クジラの仲間”

シャチは「海の王者」と呼ばれていますが、実際に私が見たその印象的な姿には、まるでプールなんて狭い世界には収まり切れない圧倒的存在感を感じました。

そんなシャチには、今も多くの秘密が隠されています。

実はクジラと同じ「鯨偶蹄目マイルカ科」に分類される動物でありつつ、イルカの仲間の中で最も大きな種にあたります。

特徴として楕円形の白い模様(通称アイパッチ)は、とても美しく目を引きますよね。

英名「Orca」とは?

私たちが日本語で読んでいる「オルカ」の英名は「Orca」です。これは、ラテン語の学名「Orcinus orca」に由来しています。

かつては「Kill​​er Whale(キラーホエール)」と呼ばれており、「クジラをも狩るもの」という意味で広まっていました。

これは圧倒的な狩猟の能力から付けられた呼び名で、昔の船乗りがシャチの勇敢な狩猟能力を目にして呼ぶようになったと言われています。

シャチの大きさ・体重・寿命など

シャチの大きさ、体重、寿命は、オスで体長6〜8m、体重は6トンを超えるとされています。これは、アフリカゾウ1頭分ぐらいと同等です。メスは、体長5〜7m、体重は3~4トン、が一般的です。

大きな個体でオスは、体長9.8m、メスは体長8.5mの記録があり、より大きくなることもあります。

寿命は、自然で生きているか飼育されて育ったかで変わりますが、平均でオスが30〜38年(最長50〜60年)、メスが46〜50年(最長80年ほど)とされています。

性別体長体重平均寿命
オス6~8m(最大9.8m)6トン~30〜38年
(最長50〜60年)
メス5~7m(最大8.5m)3~4トン46〜50年
(最長80年)

シャチの生態とすごい能力

シャチの生態

次に、シャチならではの生態や驚くべき能力についてご紹介します。

高度な社会性(ポッド)とコミュニケーション能力

シャチの生態について触れると、まるで人間の家族や仲間を思い出すような優しさや絆を感じます。 シャチたちは「ポッド」と呼ばれる家族単位でグループがあり、母親や子ども、その仲間たちみんなで支え合いながら、広い世界を旅しているのです。

シャチたちのコミュニケーションはとても豊かで、独自の鳴き声で意思を伝え合い、時にはまるで人間の地域ごとのなまりがあるように、ポッドごとに「方言」のような個性のある音声文化が根付いていることもあります。

狩りの天才|アザラシや魚を連携して狩る方法

シャチたちは狩りの場面でも、協力の心がしっかりと息づいています。 例えば、アザラシを狩る場合は、みんなで波を起こしながら氷の上に追い詰め、意図的に仕留めます。

魚の場合は囲んで泡の壁を作って逃げられないようにしてから仕留めたり、時にはクジラの親子を狙ったりと獲物の種類や状況によって連携の仕方も変わるのが面白いところです。

これらの技や知恵は、シャチたちの親から子へとしっかり引き継がれ、地域ごとにちょっとした「家族のしきたり」のようなものとして、受け継がれています。

音波を使ったエコーロケーション(反響定位)

みなさん、シャチの特徴の一つ、「エコーロケーション」という言葉を聞いたことがありますか?

「エコーロケーション」とは、超音波を使い、クリック音やホイッスル音を水中に響かせて、戻ってきた音から獲物や障害の位置を正確に把握するというものです。

集団行動や高度な協力が求められるシーンで、その力を最大限に活用しているのが特徴です。イルカはコミュニケーションや遊びに使い、シャチは家族や仲間と作戦会議をしているかのように使っています。

シャチの面白い雑学・トリビア

シャチの雑学

シャチについてのちょっと意外で面白い雑学をいくつかまとめました。

シャチは“サメの天敵”だった?

シャチに関する興味深いトリビアを知ると、海の王者らしさを感じることができます。
実際、シャチはサメの中でも特に、ホホジロザメにとっては最大の敵です。

過去には、南アフリカの海でシャチが現れるとサメたちが出現地域から移動せざるを得なくなるぐらいの影響力を持っていたと記録に残っています。

中でも有名なのが、シャチの「殺し屋コンビ」と呼ばれる個体たちで、彼らがあたかも「サメの脂質が豊富な肝臓だけを狙って食べている」ように見える写真も実際に撮られています。

実は人間を襲うケースは稀という事実

シャチの最大の驚きは、人間が海の中で襲われるケースがほとんど無いという事実です。

サメからも怖がられるシャチが人間を襲わないその理由は、単に「知能の高さ」だけではなく、「学習による獲物選択」や「偏食的な食習慣」、さらに「エネルギー効率を重視した捕食行動」などが大きく影響しているとされています。

シャチは人間が報復する可能性があることも認識しているとの説もありますが、科学的には明確な証拠はなく、むしろこれも含めて理性的に効率の良い獲物選択を行っていると考えられています。

笑っているように見える理由

シャチは、口角が上がって見えるので「笑っている」ように見えるのが特徴です。

その表情が愛らしいイメージを生み、世界中の人から「フレンドリーな海の王者」と思われているのです。

日本でシャチが見られる水族館はどこ?

実際に日本でシャチに会えるのは限られた水族館だけ。代表的な3つの施設をご紹介します。

鴨川シーワールド(千葉県)

鴨川シーワールドは、東日本唯一シャチを展示している水族館として知られ、生命の神秘に触れ、鴨川から広がる海の世界を堪能できる場所です。

現在は、ラビー(27歳)、ララ(24歳)の2頭の可愛らしい女の子のシャチたちがいます。
イベントとしてのショーは、1日3回開催しており、ジャンプ、スプラッシュなどとトレーナーとの信頼に基づくコンビネーション技など見どころが満載です。

ショーの合間にはチルタイムと呼ばれるトレーナーとの交流時間もあり、リラックスしたシャチの様子も観察できます。

夏の恒例イベントサマースプラッシュでは、シャチが1.5メートルの尾びれで観客に豪快に水しぶきを浴びせるなど、暑い夏に大迫力の演技で来館者を楽しませてくれます。

2025年9月にはシャチへの給餌や握手体験ができる「満喫体験」と「満喫宿泊プラン」が8日間限定で実施予定です。シャチとの特別なふれあいが楽しめるいい機会なのでおすすめです。

鴨川シーワールド公式サイト>>

神戸須磨シーワールド (兵庫県)

神戸須磨シーワールドは、2024年6月1日にグランドオープンした、西日本で唯一シャチを飼育・展示する水族館です。

「つながる命の物語」をコンセプトに、イルカやアシカなどのパフォーマンスだけでなく、シャチの生態を深く学べるプログラムや、多彩な体験型コンテンツを提供しています。

現在は、ステラ(38歳)、ラン(18歳)を飼育しています。実は、ランも含め鴨川シーワールドで飼育されているラビー、ララはステラの娘たちなのです。

醍醐味のショーは、座席数約2,500席あるオルカスタジアムで開催されています。


給餌の様子などを観察し学べる教育プログラム「ファミリースクール オルシーと知るsea」が定期的に開催されていて、トレーナーがシャチの生態や行動を解説する形で、子どもから大人まで楽しめる内容です。

また、シャチを間近に見ながら食事ができる「ブルーオーシャン オルカスタディアム」レストランも人気です。

神戸須磨シーワールド公式サイト>>

名古屋港水族館(愛知県)

名古屋港水族館はまるで、名古屋にいつつも世界の海を巡る旅をしているかのような気持ちになれる水族館です。

現在は、ステラの娘のメスシャチ「リン」が単独飼育中です。

名古屋港水族館ではショーは実施せず、平日1日2回公開トレーニングとしてシャチの生態や健康管理の様子を飼育員が解説しながら見せる形をとっています。

パフォーマンスというよりは、シャチの自然な行動や賢さを学ぶ場として設けられ、土日祝や長期休暇期間は回数が増加します。

メインプールでのトレーニング時は迫力があり、観覧席の近くでは水しぶきを浴びることもあるため濡れる覚悟が必要です。

シャチプールで観覧可能ではありますが、2025年8月現在、公式HPで記載されている通り、シャチの公開トレーニングは当面の間、中止となっています。

名古屋港水族館公式サイト>>

【時事】名古屋港水族館のシャチ「アース」死去について

名古屋港水族館で飼育されていたオスのシャチ「アース」が、2025年8月3日午前0時26分に急逝しました。享年16歳でした。

アースは、同館の人気者である母親ステラの孫で、ラビーの子供でした。国内の飼育シャチの中で唯一のオスであり、最も大きな体を持つシャチでした。

2008年10月13日に鴨川シーワールドで誕生し、2015年に名古屋港水族館へやってきましたが、一度も自然の海を経験することはありませんでした。

野生でのシャチの平均寿命が50~60年と言われる中、アースの16歳という死は、飼育下のシャチとしても非常に若く、専門家からは、飼育環境と自然環境の違いによる肉体的・精神的なストレスが寿命を縮めた可能性が指摘されています。

高度な知能と社会性を持つシャチにとって、狭い飼育環境が早期死亡や異常行動に繋がることも示唆されています。

2025年7月31日午後から餌を食べなくなり、8月1日に公開トレーニングが中止、医療用プールで検査・治療が行われました。その後、8月2日の夜に呼吸が苦しくなり、8月3日午前0時26分に急逝しました。

埼玉県の小学4年生が「シャチが死んじゃって悲しかった」と語ったほか、滋賀県から訪れた男性は「アースは自分をシャチ好きにした一番の存在。本当に寂しい」とコメントしています。

仕事中に訃報を聞いて涙が止まらなくなったという名古屋在住のファンの話もあり、献花台には多くの花が供えられました。

彼は飼育下としては非常に若い死でしたが、多くの人々に愛され続け、飼育環境の課題を示す象徴的な存在となりました。

名古屋港公式サイト-シャチ「アース」の死亡について>>

まとめ|シャチの知識を深めて水族館でもっと楽しもう

シャチは海の頂点に立つ高度な知能と社会性を持つ哺乳類であり、独特の白黒模様や複雑なコミュニケーション能力が魅力です。

日本では「鴨川シーワールド」「神戸須磨シーワールド」「名古屋港水族館」の3か所で観察でき、それぞれが異なる特徴やプログラムでシャチの生態や行動を学べます。

鴨川シーワールドでは家族単位の群れやトレーナーとのショーを楽しめ、神戸須磨シーワールドは最新設備での教育プログラムやパフォーマンスが充実しています。

名古屋港水族館は自然な行動を公開トレーニングで観察でき、貴重な学びの場となっています。2025年8月に名古屋港水族館で飼育されていた人気のオスシャチ「アース」が急逝したことは、飼育環境の課題とシャチの繊細な心身を考えるきっかけになりました。

今後も飼育環境の改善や研究、そして野生のシャチの保護に注目しながら、より深くシャチの魅力を理解し、水族館での体験をより豊かにしていきたいですね。

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この記事の執筆者

渡辺
渡辺れお
動物と暮らす喜びを言葉にするペットライターの渡辺れおです。小動物や犬、猫に囲まれて育ち、現在はキジシロ猫と暮らしています。日々の暮らしから学びを得ながら、動物看護師としての経験を活かして、動物の魅力やペットと人が心地よく暮らせる工夫をお届けします。
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