カモノハシDuck-billed platypus/Platypus

カモノハシ
カテゴリ 中ぐらいの動物
種類 カモノハシ
英語表記 Duck-billed platypus/Platypus
大きさ 全長 オス45~60㎝ メス37~55㎝
重さ オス1~3kg メス0.7~1.8kg
平均寿命 飼育下で15-20年、野生で10年前後

カモノハシの特徴

単孔目カモノハシ科カモノハシ属に分類される卵生の哺乳類です。
卵を産むのになぜカモノハシは哺乳類なのかというと、乳腺があり、赤ちゃんはそこから分泌される母乳を飲んで育つからです。カモノハシには体表に乳首がないので、腹部の辺りから染み出てくるという仕組みです。
カモノハシは生殖孔・尿道・肛門が分かれておらず、1つの同じ穴となっています。つまり、糞尿も卵も同じ穴を通ります。これを総排泄腔といい、単孔目に分類される理由でもあります。

見た目は、鳥類のような嘴にビーバーのような平たい尻尾、モグラにような茶褐色の厚い毛皮を纏っています。
嘴は鳥類と違ってぷよぷよと柔らかめで、様々な感覚器として水底の餌を探す時に役に立っています。なんとカモノハシの嘴には獲物が発する電気を感じ取ることができるのです。さらに水圧を感じる受容器も備わっています。視覚や嗅覚が弱い分、これらを駆使して獲物との距離感を測っているという説が有力です。カモノハシに歯はありません。赤ちゃんには、自ら卵を割るための卵歯という歯がありますが、成長すると抜け落ちます。
カモノハシは水中生活に適した紡錘形の身体をしており、平たい前肢と後肢には水かきが付いています。前肢はオール、後肢は舵の役割です。

カモノハシの性格

カモノハシは基本的には穏やかな性格をしていますが、危険を感じたり、雌をめぐって争うときやテリトリーを侵される際は攻撃的になります。
カモノハシは雄にだけ、後肢の内側に蹴爪(けづめ)があります。蹴爪(けづめ)は毒腺に通じていて、作られる毒はヘビやマムシと同じ出血毒であり、犬やウサギをも死に至らしめてしまいます。この毒力から、哺乳類最強とも呼ばれることがあるそうです。本来は雄が縄張りを守ったり、雌を獲得するための武器として使われると考えられています。

カモノハシの飼い方

カモノハシは、オーストラリアのみに分布しています。ディズニーアニメや西日本の交通系ICカードのキャラクターのモデルにも採用されているカモノハシは、その特殊性から、日本でも愛されています。しかし、カモノハシは日本で飼育されたことがありません。オーストラリアの動物園で見ることができます。飼育にはオーストラリア政府から飼育の許可が必要ですが、オーストラリア政府は国外でのカモノハシの飼育を認めていません。現状残念ながら日本で買うことは不可能ですが、準絶滅危惧種に指定されていることと、オーストラリアの特異的な気候や土地柄を考えると頷けるのではないでしょうか。

カモノハシの歴史・起源・生態

カモノハシは、オーストラリア東部の河川や湖沼の水辺に生息しています。オーストラリアの自然保護区や国立公園の湖などで野生が観察されることもあるそうです。食べ物は、トビケラやトンボなどの幼虫や水生昆虫から、エビ、ザリガニなどの甲殻類、二枚貝、ミミズや魚類の卵まで幅広いです。水中で食べ物を探している最中は目と鼻を閉じて、嘴を使い、1~2分ほど潜っています。じっとしていれば最大10~15分ほど潜ることができるようです。個体差がありますが、夜活動するカモノハシが多く、基本的に単独で行動します。
巣は、水辺に穴を掘って作ります。水中に入口があったり植物で隠れるよう作ることで外部からは巣がわからないようになっています。
カモノハシの繁殖は季節性です。緯度にもよりますが、7月から10月が繁殖・子育てシーズンです。7~8月に交尾が行われ、メスは21日間の妊娠期間の後通常2個の卵を産みます。産まれる赤ちゃんはなんと3cm未満です。母乳によって育てられます。

カモノハシの気を付けたい病気

カモノハシのデータが少なく提示できません

カモノハシの一口メモ

ヒトを含めた哺乳類は通常、性染色体が2種類あります。XXがメス、XYがオスです。しかし、カモノハシには性染色体が5対10種類あるのです。このような構造は陸上の脊椎動物では、同じ単孔目であるハリモグラと共に他にない特徴です。
哺乳類の性別を決めるといわれている遺伝子領域に「SRY遺伝子」というものがあります。これはY染色体に存在します。しかしこれもカモノハシにはありませんでした。カモノハシはどのようにして性別が決定されているのか、謎に包まれています。遺伝子レベルでの珍獣といえますね。
さらにカモノハシの毒から得られる物質が、高血圧予防や痛み止めに応用できるのではないかという研究も進められています。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師ニノマユ
獣医師ニノマユ
獣医師免許を取得後、都内動物病院にて小動物臨床に従事。その後はペット損保会社にて保険査定や犬猫~エキゾチックアニマルまでの健康相談業務などを担当しておりました。現在は、動物業界の課題について広く視野を持ちたいという想いでweb業界にて働いています。大学時代は動物行動管理学研究室に所属。一番好きなのは羊で繁殖~出荷を経験しました。

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