ジャイアントパンダとレッサーパンダの13の違いとは?名前の由来も解説!

目次

ジャイアントパンダとレッサーパンダ・どう違うのか13項目で比較してみた

上野動物園で2017年6月12日に生まれたジャイアントパンダの赤ちゃん「シャンシャン」はすでに中国に帰ってしまいましたが、ジャイアントパンダは相変わらずの人気です。

ところで「ジャイアントパンダ」と「レッサーパンダ」の違いを知ってる?

同じ”パンダ”がつくこの2種、何か関係があるのかな?

この記事では下の13項目で、「ジャイアントパンダ」とレッサーパンダの違いを比較してみました。

  1. 違い①名前
  2. 違い②分類学
  3. 違い③絶滅危惧種ランク
  4. 違い④大きさ(体長・体重)
  5. 違い⑤見た目の色
  6. 違い⑥シッポ
  7. 違い⑦食生活
  8. 違い⑧夜行性/昼行性
  9. 違い⑨地上性/樹上性
  10. 違い⑩生息区
  11. 違い⑪出産頭数
  12. 違い⑫群れか単独か
  13. 違い⑬寿命

違い①名前

「パンダ」という名前はネパール語の“笹を食べるもの”というところからきています。

レッサーパンダにも昔パンダと呼ばれていた時代がありました。実は、レッサーパンダこそが「元祖」で、先にパンダと呼ばれていたんですよ。

ジャイアントパンダ(Giant panda)

19世紀にジャイアントパンダが発見され、その大きさから「Giant(ジャイアント)」パンダとなりました。

レッサーパンダ(Lesser panda)

意外や意外?もともとはレッサーパンダが元祖「パンダ」なのです。

ジャイアントパンダが発見されたことにより、元祖パンダは英語でジャイアントパンダより小さいという意味の「lesser(レッサー)」をつけられ、レッサーパンダと呼ばれるようになりました。

ちなみに世界ではRed Panda(赤パンダ)という呼び名のほうが多くなってきています。

レッサーパンダは2種類いて、日本で見るレッサーパンダは「シセンレッサーパンダ」でやや色が濃い目。ネパールレッサーパンダはやや色が薄く、ほとんど見かけません。

【参考】中国語では「大熊猫」「小熊猫」

余談ですが、中国語では

  • ジャイアントパンダ…大熊猫
  • レッサーパンダ…小熊猫

といいます。猫、と書いてありますが、catではありません。

違い②分類学

ジャイアントパンダもレッサーパンダも哺乳綱 食肉目 イヌ型亜目 に属している、というところまでは一緒です。

ジャイアントパンダ:

哺乳綱 / 食肉目 / イヌ型亜目 / クマ科 / ジャイアントパンダ属。

そこからジャイアントパンダはクマ科に分類されました。

ジャイアントパンダはクマの仲間といえます。

レッサーパンダ:

哺乳綱 / 食肉目 / イヌ型亜目 / レッサーパンダ科 / レッサーパンダ属

レッサーパンダはレッサーパンダ科に分かれています。

そしてレッサーパンダ科はレッサーパンダのみなのです。

レッサーパンダの見た目はパンダというよりも、たぬきやアライグマに近いために、たぬき科に分類されていたこともあります。

違い③絶滅危惧種ランク

ジャイアントパンダもレッサーパンダも国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生生物のリストに登録されていますが、そのランクが違います。

ジャイアントパンダ:

危急種(vulnerable)にあたります。

レッサーパンダ:

絶滅危惧種(endangered)にランキング。

ジャイアントパンダよりもレッサーパンダの方がより絶滅に近いとされており、存続が危ぶまれています。

【参考】IUCN レッドリスト

日本語英語カテゴリ説明
絶滅種Extinct (EX)野生ではもはや存在せず、生きている個体が確認されない状態
野生絶滅種Extinct in the Wild (EW)飼育下や自然以外の環境でのみ生存しており、野生では存在しない状態
近絶滅種Critically Endangered (CR)極めて急速な速度で個体数が減少しており、絶滅の危機に瀕している状態
絶滅危惧種Endangered (EN)個体数が急速に減少しており、近い将来に絶滅する可能性が高い状態
危急種Vulnerable (VU)絶滅の危険が高まっているが、絶滅危惧や急速減少ほどではないが、個体数の減少が懸念される状態
近危急種Near Threatened (NT)絶滅の危険は直近ではないが、将来的に危急種に陥る可能性がある状態
低危険種Least Concern (LC)絶滅の危険性が低く、個体数が安定または多い状態
評価不足Data Deficient (DD)十分な情報がないため、絶滅の危険性を評価できない状態
未評価Not Evaluated (NE)まだ評価が行われていない種
出典:IUCN Red List

違い④大きさ(体長・体重)

その名の通りジャイアントパンダはジャイアント!体長はレッサーパンダの2倍以上、体重は25倍近く…!?

ジャイアントパンダとレッサーパンダの体長と体重の違いを以下の表にまとめました:

種類体長体重
ジャイアントパンダ1.2m〜1.9m70kg〜160kg
レッサーパンダ50cm〜64cm3kg〜6kg

ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダは大きくてがっしりとした体格をしており、成体は体長が約1.2mから1.9mに達し、体重は70kgから160kgの範囲です。

オスの方がメスよりも一般的に大きく重い傾向にあります。

レッサーパンダ

レッサーパンダは小さくて軽い体格が特徴で、体長は50cmから64cm、体重は3kgから6kgです。

違い⑤見た目の色

ジャイアントパンダ:白黒
レッサーパンダ:茶色(赤褐色)

両者は色合いが全然違います、ジャイアントパンダはくっきり分かれた白黒のボディが特徴的。

レッサーパンダは茶色のグラデーションに、シマシマ模様の長いシッポが特徴的。

特徴ジャイアントパンダレッサーパンダ
主要な体色白と黒茶色(赤褐色)

ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダの最も顕著な特徴は、白黒の体色です。雪深い場所にいても白黒は雪景色で目立たないことが理由という説が有力です。

レッサーパンダ

レッサーパンダの茶色(赤褐色)やシッポのシマシマ模様は、樹の上や枯れ木などの多い中では保護色になっています。

ちなみにお腹は黒いです。樹上にいると、保護色となり、下(地上)にいる外敵に見つかりにくいからといわれています。

違い⑥シッポ

ジャイアントパンダ:短い尾
レッサーパンダ:長い尾

レッサーパンダの尾が30〜50センチあるのに対してジャイアントパンダの尾は短くポンポンのようです。

ちなみに、ジャイアントパンダの尾は黒だと思われていますが、本当は白なんです。

ジャイアントパンダとレッサーパンダのシッポの特徴の違いを以下の表にまとめました:

種類シッポの長さシッポの特徴
ジャイアントパンダ10cm〜15cm短くて太い、毛色は体と同じ白黒色
レッサーパンダ30cm〜50cm長くてふさふさしており、赤茶色と白のリング状の模様がある

ジャイアントパンダ


シッポは比較的短く、その太さと長さは全体の大きさと比べて小さいです。

色は白色が基調。

生まれたときはシッポの長さが体の3分の1から4分の1程度ありますが、体が成長してもシッポはあまり大きくならず、大人になると体に比べてとても短くなります。

竹を主食にするため、シッポが退化したといわれています。


レッサーパンダ

シッポは体長とほぼ同じかそれ以上の長さがあり、特に目立つ特徴の一つです。

フサフサで、はっきりした赤茶色と白のリング模様が特徴的。

  • 木の上で生活するにあたりバランスを取る
  • マフラー代わりにシッポを覆ったり体に巻き付けて保温する
  • 立てて威嚇するなどに使われます。

違い⑦食生活

名前の由来にもなったように、ジャイアントパンダもレッサーパンダも笹を主食としています。

ジャイアントパンダはほぼ笹。

レッサーパンダは笹の他にも、他にも竹や果物が好物です。草食に近い雑食で、ときには昆虫・小動物・鶏の卵なども口にします。

ジャイアントパンダとレッサーパンダの食性の違いを以下の表にまとめました:

種類主な食物
ジャイアントパンダ
レッサーパンダ竹、果物、昆虫、小動物

ジャイアントパンダ


分類学上はクマ科は本来は肉食(雑食)になるジャイアントパンダですが、その大部分を竹でまかなう特異な食性を持っています。

消化器官は草食動物のそれに近く、竹を分解して栄養を吸収するための特化した生理機能を持っていますが、消化効率は低いため、大量の竹を食べる必要があります。

竹の他にも果物や野菜を補助食として取り入れ、稀にタンパク源として小動物や魚を食べることも。

レッサーパンダ

レッサーパンダは雑食性で、食物の種類はより多岐にわたります。竹も食べますが、その他に果物、昆虫、鳥の卵、小動物なども食べるため、食性の幅が広いです。

竹の新芽や葉は主食ですが、栄養バランスを保つために他の食物も必要とします。特にタンパク質が豊富な昆虫や小動物は重要な食料源となります。

違い⑧歯の数

ジャイアントパンダは42本、レッサーパンダは38本。

両方とも「食肉目」…本来肉食に分類されている名残で、消化管は肉食獣と似て短い構造。このため竹を主食にしていますが、消化効率はとても悪いのです。

ジャイアントパンダとレッサーパンダの歯の数についての情報をまとめました:

パンダレッサーパンダ
42本。犬歯で竹を噛んで割り、臼歯は大きく発達し,硬い竹をかみ砕すりつぶす38本。鋭い犬歯があり、臼歯は平たい形で主食の竹や笹の葉をすり潰しやすい

ジャイアントパンダ:

ジャイアントパンダの歯は他のクマ類と比べて、強力な臼歯が発達している。これは硬い竹を効率良く噛み砕くために適している。

レッサーパンダ:

レッサーパンダの歯は38本。レッサーパンダの歯も竹を食べることに適応しており、鋭い切歯と発達した臼歯を持つ。雑食性の食性に合わせて、昆虫や小動物を噛み砕くのに役立つ構造をしている。

こちらはレッサーパンダの歯。立派な犬歯があります。ちょっとかわいくて、本数がよくわかりません😂。

ジャイアントパンダがほぼ完全に草食であるのに対し、レッサーパンダはやや雑食性です。レッサーパンダの歯はより多様な食物を処理できるように進化しているといえますね。

違い⑨行性/昼行性

ジャイアントパンダ:夜行性、昼行性
レッサーパンダ:夜行性

ジャイアントパンダは昼も夜も関係なく活動するのに対してレッサーパンダは夜行性です。

ジャイアントパンダとレッサーパンダの活動時間の比較は以下のようになります。

特徴ジャイアントパンダレッサーパンダ
活動時間帯主に夜明けと夕暮れに活動(薄明薄暮性)夜間活動が主(夜行性)、昼間も活動することがある
活動の理由竹を食べる時間が必要であり、涼しい時間を選ぶ捕食者を避けるためと考えられる
休息時間日中は休むことが多いが、食後は活動することも日中は木の上で休むことが多い

ジャイアントパンダ

昼行性・夜行性どちらでもありますが、主に活発なのは薄明薄暮の時間帯です。

竹林は日中は温度が高くなるため、涼しい時間帯に活動することで、体温の管理とエネルギーの効率化を図っています。ジャイアントパンダはその巨体を支えるために長時間かけて大量の竹を食べる必要があります。

レッサーパンダ

夜行性であることで、レッサーパンダは昼間活動する多くの捕食者から身を守ります。また、夜間は視界が限られるため、明るい色の体毛もカモフラージュとして機能しやすいのです。

違い⑩地上性/樹上性

ジャイアントパンダ:地上
レッサーパンダ:樹上

ジャイアントパンダとレッサーパンダの主な活動領域(樹上か地上か)についての違いを以下の表にまとめました:

種類活動領域
ジャイアントパンダ地上
レッサーパンダ樹上と地上

レッサーパンダは長い尾を持ち、木登りが得意で採餌はほとんど樹上で行います。

ジャイアントパンダも木登りをすることがありますが、生活は地上で行っています。

ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダは主に地上で活動し、食事や移動を地面で行います。体重が最大で160kg以上になるため、樹の上での活動は難しいのです。まれに竹を食べるためや安全を求めて時々木に登ることがあります。

特に若いジャイアントパンダは木登りをすることがありますが、成長するにつれてその頻度は減少。

レッサーパンダ

レッサーパンダは樹上での活動を好み、長いシッポをバランスを取るために使用しながら巧みに木を移動します。安全のためや休息、観察のために高い場所を利用します。

一方で食事のために地上に降りることも多く、地上での活動も頻繁。特に竹や果物を食べる際には地上に降りることが必要です。

ジャイアントパンダはその体重と体格のために地上生活が中心ですが、レッサーパンダはより小柄で樹上活動に適した体格をしています。

違い⑪生息区

ジャイアントパンダとレッサーパンダは竹が豊富な地域を好む点が共通していますが、レッサーパンダの方がより高い高度での生活に適応しています。

ジャイアントパンダとレッサーパンダの生息地域の違いを以下の表にまとめました。

種類生息地域地域の特徴
ジャイアントパンダ中国
四川省、陝西省、甘粛省
高度1,200~3,300メートル
山地、主に竹林に生息
レッサーパンダヒマラヤ山脈の麓
ネパール、インド、ブータン、中国、ミャンマー
高度1,500~4,800メートル
山地、竹林や混交林に生息

ジャイアントパンダ


主に中国の四川省、陝西省、甘粛省の竹林が豊富な山地に生息。
生息地は高度1,200メートルから3,300メートルの間で、冷涼で湿度の高い山地が多いです。

レッサーパンダ

ヒマラヤ山脈の麓、具体的にはネパール、インド北部、ブータン、中国(特に雲南省、四川省)、そしてミャンマーにかけての地域に分布。

生息地はより高い高度、1,500メートルから4,800メートルの山地で、竹林や混交林の中で生活しています。

違い⑫出産頭数

ジャイアントパンダは繁殖が難しく、通常は2年以上に1度の出産で1頭を産みます。

レッサーパンダは1年に1度、2頭前後を出産します。

特徴ジャイアントパンダレッサーパンダ
出産頭数通常1頭(まれに2頭)通常2頭(範囲は1〜4頭)
出産間隔2年以上1年
性成熟雄:4〜6年、雌:5〜7年雄:約18ヶ月、雌:約18ヶ月

ジャイアントパンダ

非常に繁殖が困難で知られており、野生下では出産間隔が長く、繁殖成功率も低いです。

人工繁殖も行われており、その成功率は向上しています。

レッサーパンダ

比較的繁殖が容易で、自然下でも人工下でも比較的高い繁殖成功率を持っています。

出産数がジャイアントパンダより多く、繁殖周期も短いです。

違い⑬群れか単独か

ジャイアントパンダとレッサーパンダの社会行動、特に群れで行動するのか単独で行動するのかについての違いを以下の表にまとめました。

種類社会行動
ジャイアントパンダ単独行動
レッサーパンダ主に単独行動だが、たまに小規模の群れをつくることも

ジャイアントパンダ

ジャイアントパンダは非常に縄張り意識が強く、自分の生活圏内でほとんどの時間を単独で過ごします。

特定の期間、通常は春に繁殖活動のために他のパンダと交流しますが、それが終わると再び単独行動に。

行動範囲や縄張りは食べ物の豊富な場所によって左右されるため、竹林の環境変化に敏感です。

レッサーパンダ

レッサーパンダは基本的に単独で木の上や地面で活動し、特に食事の際は単独でいることが多いです。しかし、冬の寒い時期や繁殖期には他のレッサーパンダと一緒にいることがあります。

小規模な群れや家族単位での行動が観察されることもあり、ジャイアントパンダほどの独立性は少ないと言えます。

これらの違いは、それぞれの種の生態系や生存戦略に根ざしています。

ジャイアントパンダはその大きな体と食べ物への高い需要から、広い領域と単独での生活が必要です。一方、レッサーパンダはより柔軟な社会構造を持ち、時には他の個体との協力を見せることもあります。

違い⑭寿命

ジャイアントパンダ:野生で15〜20年、飼育下で20〜30年。

レッサーパンダ:野生で8〜10年、飼育下で15年。

ジャイアントパンダとレッサーパンダの野生および飼育下での寿命を表にまとめます:

種類環境平均寿命
ジャイアントパンダ野生14年 – 20年
ジャイアントパンダ飼育下20年 – 30年
レッサーパンダ野生8年 – 10年
レッサーパンダ飼育下10年 – 15年

ジャイアントパンダ(野生)

野生でのジャイアントパンダは平均して14年から20年生きますが、自然界の厳しい条件が影響します。

ジャイアントパンダ(飼育下)

飼育下のジャイアントパンダは良好な環境下で平均20年から30年、場合によってはそれ以上生存することがあります。

レッサーパンダ(野生)

レッサーパンダの野生での寿命はおよそ8年から10年程度で、多くの自然のリスクが寿命に影響を与えます。

レッサーパンダ(飼育下)

飼育下ではレッサーパンダは平均10年から15年生きますが、適切なケアにより20年以上生きることもあります。

寿命の長さが一番の違いともいえそうで、ジャイアントパンダのほうがレッサーパンダよりも圧倒的に長生きですね。

ジャイアントパンダとレッサーパンダの共通点

ジャイアントパンダとレッサーパンダ、共通点は大まかに4つ。

  • パンダという呼び名
  • 中国に生息
  • 竹/笹が主食
  • 指が6本

この指の数についてはまた別の記事でご紹介予定です。

ジャイアントパンダとレッサーパンダ、全然違う動物だったんだね〜!

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この記事の執筆者 / 監修者

らみえる
らみえる
▷動物専門・ペット特化ライター&デザイナー
▷慶應義塾大学卒
▷会員制ねこ専用ホテル&シッター・キャッツカールトン代表
▷動物取扱責任者・愛玩動物飼養管理士
▷現在は猫4匹との暮らし。幼少時から犬、リス、うさぎ、鳥、金魚などさまざまな動物と過ごし、生き物を愛してやまない毎日。
▷前職は一般企業で広報、編集校正やってました。
▷多趣味で神社検定とかいろいろ資格あり
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