ヒグマとツキノワグマの違い完全ガイド!体格、生態、危険性から安全な対処法まで徹底比較

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ヒグマとツキノワグマの違いとは?この記事で全てがわかる!

ヒグマとツキノワグマは、どちらも「クマ」として知られる動物ですが、その生態や行動、見た目には多くの違いがあります。

日本国内では主に北海道に生息するヒグマと、本州から四国に生息するツキノワグマ。

本記事では、ヒグマとツキノワグマの 分類、体格、生態、性格などをわかりやすく比較していきます。この記事を読むことで、自然への理解を深めるだけでなく、実用的な知識を身につけることができます。

ヒグマとツキノワグマの違いを楽しく学び、自然と共存する知恵を一緒に身につけましょう!

ヒグマとツキノワグマの基本情報:分類と生息地を比較

ヒグマとツキノワグマはどちらもクマ科に属する大型哺乳類ですが、分類学的位置と生息地には大きな違いがあります。

以下の表で、ヒグマとツキノワグマを比較してみましょう。

項目ヒグマ(Ursus arctos)ツキノワグマ(Ursus thibetanus)
分類哺乳綱 ネコ目 クマ科 クマ属哺乳綱 ネコ目 クマ科 クマ属
学名Ursus arctosUrsus thibetanus
主な生息地北米、ヨーロッパ、ロシア、日本(北海道)アジア全域(現在の分布域は,東は日本から西はイランまでのアジア地域に限られています)
漢字表記月輪熊
英語表記brown bearAsian black bear
日本国内の分布北海道のみ本州、四国
生息環境森林、湿地、高山、草原山地森林、低地森林

分類と学名

ヒグマは「Ursus arctos」、ツキノワグマは「Ursus thibetanus」と分類され、どちらもクマ属に含まれています。

漢字表記:「羆」と「月輪熊」、文化の中での意味

  • ヒグマ:「羆(ヒグマ)」は力強さを象徴する漢字。
  • ツキノワグマ:「月輪熊(ツキノワグマ)」は胸の白い「三日月模様」に由来しています。

英語名:「ブラウンベア」 vs 「アジアンブラックベア」

  • ヒグマ:英語名は「Brown Bear(ブラウンベア)」。その毛色が名前の由来です。
  • ツキノワグマ:英語名は「Asian Black Bear(アジアンブラックベア)」。黒い毛色とアジア中心の分布を反映しています。

世界の分布域

ヒグマは広域に分布するグローバルな種。ヒグマは北半球全域に広がり、特に北米やロシア、北ヨーロッパでよく知られています。亜種としてはグリズリーやハイイログマなど。

一方で、ツキノワグマの現在の分布域は,東は日本から西はイランまでのアジア地域に限られています。(環境庁)

分布が確認されている国は,イラン,アフガニスタン,パキスタン,インド,ネパール,ブータン,中国,バングラディッシュ,ミャンマー,タイ,ラオス,カンボジア,ベトナム,北朝鮮,韓国,ロシア,台湾,日本です。(環境庁)

日本国内の分布図

日本国内ではヒグマが北海道に生息。

北海道にはツキノワグマは生息していません。ツキノワグマは本州、四国で見られます。九州では1940年代に絶滅したと考えられています。(環境庁)

生息環境の違い

ヒグマは湿地や高山、森林地帯など多様な環境に適応する能力を持っています。

ツキノワグマは森林地帯を主な生息地とし、食料を求めて人里近くに現れることもあります。

体格と見た目の違い:ヒグマは巨大、ツキノワグマは俊敏!

ヒグマとツキノワグマは見た目や体格が明らかに違い、それぞれの生態や行動にも影響を与えています。以下の表で体格や外見的特徴を比べてみました。

項目ヒグマ(Ursus arctos)ツキノワグマ(Ursus thibetanus)
体長約1.5~2.8m約1.2~1.8m
体重オス:300~500kg、メス:200~350kgオス:50~150kg、メス:40~100kg
毛色茶色、黒色、金色(地域差が大きい)黒色(胸に特徴的な白い三日月模様あり)

体型とサイズ:巨大なヒグマ、スリムなツキノワグマ

ヒグマは非常に大きく、ホッキョクグマと並んでクマ科の中では最大種。体つきも頑丈です。

特に北米の「グリズリー」と呼ばれる亜種や、「コディアックヒグマ」などは、3m近くに達するものもあります。

これに対し、ツキノワグマはヒグマの半分以下の体重で、体格も小柄です。

大きく力強いヒグマ、小柄で俊敏なツキノワグマという特徴があるといえますね。

ヒグマは国内最大の陸上動の・ツキノワグマは本州最大

ヒグマは国内最大・ツキノワグマは本州最大の食肉類。他のヒグマ・ツキノワグマや人間を除いて天敵は存在しません。

全体の色:ヒグマの茶色とツキノワグマの黒

ヒグマヒグマ
赤茶っぽい、黒褐色黒っぽい

ヒグマの毛色は地域によって変化し、北海道の個体は主に茶色や黒色をしています。一方、ツキノワグマは黒っぽい色をしています。

体の模様:三日月模様で区別

ヒグマヒグマ
三日月模様がないのが基本三日月のような模様があるのが多い

ヒグマの毛色は地域によって変化し、北海道の個体は主に茶色や黒色をしています。

一方、ツキノワグマの特徴は胸にある白い「三日月模様」で、この模様が名前の由来にもなっています。

尻尾:両方とも短い

ヒグマもツキノワグマも尾は非常に短いです。世界にはなぜクマのしっぽが短いのか、あちこちに昔話もありますよ。

行動と性格:大胆なヒグマ vs 臆病なツキノワグマ

ヒグマとツキノワグマは性格や行動に大きな違いがあります。まず、下の表で、両者の性格や行動を比較し、その特徴を解説します。

項目ヒグマ(Ursus arctos)ツキノワグマ(Ursus thibetanus)
主な食性雑食(肉類、魚、植物など)雑食(植物主体、果実、昆虫など)
好物鮭、鹿、ベリー類、蜂蜜木の実、果実、昆虫、柔らかい植物の葉
捕食スタイル力強く動物を狩る動物を狩ることは少なく採集が中心
季節ごとの食べ物春:草や新芽、夏:鮭や動物、秋:果実春:新芽や草、夏:果実、秋:木の実
エネルギー戦略冬眠前に大量に食べ脂肪を蓄える冬眠前に少量でも高カロリーな木の実を食べる

性格の特徴

本来クマは臆病でおとなしい動物なのですが、不幸にも遭遇してしまった場合、襲われるという事故があとを絶ちません。

不用意に近づいたり、挑発しないことです。

特に子グマを連れた親グマは自分の身と我が子を守るために攻撃をしかけてくることが多いです。

野生かペットか:どちらも野生が基本!

  • ヒグマ:完全に野生動物であり、動物園や保護施設での飼育以外はほぼ不可能です。
  • ツキノワグマ:同じく野生動物ですが、一部の地域では家畜化や人間に慣れた個体も報告されています。

出典:WWF Japan

攻撃性について

ヒグマは好奇心旺盛で、未知のものに興味を示します。しかし、その反面、縄張り意識が強く、侵入者には威圧的な態度を取ることがあります。

これに対し、ツキノワグマは慎重で臆病な性格が特徴です。基本的には人間を避けようとしますが、追い詰められると威嚇することがあります。

行動:木に登らないヒグマ・登るツキノワグマ

ツキノワグマは特に木登りが得意。また、特定の縄張りを持たないのも特徴です。

一方で、ヒグマは移動範囲が広いため、山から人里まで赴くことがあります。

ヒグマツキノワグマ
体が重いので木に登らない木に登る

行動範囲:ともに縄張りを持たない

ヒグマ・ツキノワグマとも縄張りを持ちません。

行動範囲

ヒグマは広い範囲を移動し、季節ごとに餌を求めて移動することが一般的です。これに比べ、ツキノワグマは比較的小さなエリアで生活し、そのエリア内で食料を確保します。

行動の主な時間帯

ヒグマとツキノワグマともに、山に生息する場合は昼行性ですが、人里近く生息するクマは人間を避けて夜行性と言われていいます。

いずれも、特に朝夕の薄明時に活発になります。

ヒグマとツキノワグマの食性と生態:どちらも雑食、でも食べ方が違う!

ヒグマとツキノワグマはどちらも雑食性ですが、食べ物の選び方や食べ方も異なる特徴があります。

以下の表で食性や生態の違いを比較してみます。

項目ヒグマ(Ursus arctos)ツキノワグマ(Ursus thibetanus)
主な食性雑食(肉類、魚、植物など)雑食(植物主体、果実、昆虫など)
好物鮭、鹿、ベリー類、蜂蜜木の実、果実、昆虫、柔らかい植物の葉
捕食スタイル力強く動物を狩ることもある動物を狩ることは少なく採集が中心。9割が植物食
季節ごとの食べ物春:草や新芽、夏:鮭や動物、秋:果実春:新芽や草、夏:果実、秋:木の実
エネルギー戦略冬眠前にベリー類やサケ、ドングリ、野草、山菜(フキなど)などの植物質を大量に食べるブナやクルミ、クリ、ミズナラなどのドングリや、ヤマブドウ、カキの実などの山にある食べる

主な食性と好物

ヒグマは雑食性。植物性の食事を多くとります。植物性の食事は、ヒグマの食生活の約7~8割を占め、サケや昆虫などの動物性の食事は2~3割程度。

一方、ツキノワグマは、ヒグマより植物食に依存。食物の9割以上は植物です。

木の実や果実、昆虫などを採集することが多いです。動物性食品を食べる頻度は少なく、草食性に近い傾向があります。

捕食スタイル

ヒグマは圧倒的な力で動物を仕留めることが可能で、特に川で鮭を捕まえる姿は有名です。

それに対し、ツキノワグマは小動物や昆虫を捕まえる程度で、採集を主な食料確保の手段としています。

冬眠前の食べ物

ヒグマは冬眠前にはベリー類やサケ、ドングリ、野草、山菜(フキなど)などの植物質を食べ、冬眠に備えます。

鮭はヒグマにとって冬眠前の栄養を蓄えたい時期に、とても魅力的なカロリーの高い食べ物。

ツキノワグマは普段の食事も植物性のものがヒグマより多いのですが、冬眠前にブナやクルミ、クリ、ミズナラなどのドングリや、ヤマブドウ、カキの実などの山にある食べ物をたくさん食べます。

秋はどちらもクマの食欲が最も旺盛な時期で、春の3倍ものエサを食べます。また、冬眠中は絶食し、排泄もしません。

ヒグマとツキノワグマの危険性:山で遭遇したらどうする?

両者ともに野生動物である以上、接近や刺激を避けるべきです。

それぞれの特徴を理解することで、遭遇時のリスクを減らすことができます。以下の表で危険性と遭遇時の対処法を比較し、その違いを詳しく解説します。

項目ヒグマ(Ursus arctos)ツキノワグマ(Ursus thibetanus)
危険性の度合い非常に高い(日本最大級の陸生動物)中程度(攻撃性はヒグマよりは低いが注意が必要)
遭遇の頻度北海道での分布で限定的本州・四国の山間部や里山で遭遇する可能性あり
遭遇時の対処法背を向けず後退、落ち着いて逃げる威嚇されたら後退、距離を取る
注意すべき時期春~秋(活動期、特に繁殖期や冬眠前)春~秋(冬眠明けや餌不足の時期)

危険性の度合い:力の強いヒグマ・俊敏なツキノワグマ

ヒグマは日本最大の陸生動物で、体重は500kgを超える個体もいるため、その力は非常に強力で、一度攻撃された場合の被害は甚大。

一方、ツキノワグマは体格が小さく攻撃性も低いですが、威嚇されたり追い詰められると反撃してくることがあります。

クマは時速5〜60kmで走ると言われ、泳ぎ、木に登ります。

主な危険行動

ヒグマは自分の縄張りを守る意識が強く、特に子連れの母グマは非常に攻撃的です。また、不意に近づかれるとパニック状態で襲撃する可能性があります。

ツキノワグマは、主に立ち上がって人間を遠ざけようとしますが、それでも危険な状況に陥ることがあります。

遭遇の頻度:実際に遭遇する確率は?

ヒグマは北海道に限定的に生息しているため、本州で遭遇する頻度は低いです。

ツキノワグマは本州から九州の広範囲に分布しています。

ともに、山間部や、人里近くに現れることもあります。

本来は慎重?

ヒグマ・ツキノワグマともに、クマは基本的には臆病で、自ら積極的に人間を襲うようなことはしません。

ですが学習能力が高いため、人里で食べものの味を思せると何度も同じ場所にくるようになります。

クマを避けるには…

ヒグマ・ツキノワグマともに、クマを避けるには、音を出して居場所を知らせる、人間の存在を知らせることで、クマとばったり遭遇することを防ぎます。

  • 鈴やラジオなど、音が出るものを携帯して音を出す
  • 一人ではなく、複数で会話をしながら歩く
  • 手を叩いたり、大きな声を出しながら歩く
  • クマの糞や足跡などを見つけた際には引き返す
  • 農作物や捨てられた野菜、放置された果物(柿など)、ハチの巣(好物のはちみつ)、外に置きっぱなしのペットフードなどを置かない

などが考えられます。

遭遇時の対処法

ヒグマ・ツキノワグマともに遭遇した場合は、絶対に背を向けず、ゆっくりと距離を取りながら後退するのが基本です。

また、クマスプレー(熊撃退スプレー)を携行するのも有効。

ツキノワグマの場合も同様に、刺激せず距離を取ることが重要ですが、威嚇行動を見せた場合でも冷静に対応すれば攻撃されることは少ないです。

文化や伝説でのヒグマとツキノワグマ:昔話やことわざに見る2種のクマ

ヒグマとツキノワグマはの文化的な背景を解説します。

アイヌ民族のキムンカムイ

北海道の先住民族であるアイヌ民族にとって、ヒグマはキムンカムイとされ、神聖視されています。

クマに関することわざ

ヒグマ・ツキノワグマのことわざに、違いはありません。クマに関することわざには次のようなものがあります。

熊の親切

「ありがた迷惑」「余計なおせっかい」という意味のことわざで、熊が親切にハエをたたいたことでおじいさんが死んでしまったという話が起源です。

二頭のクマは同じ穴では暮らせない

ロシアのことわざ。同じ力を持った英雄は力を競って争うことになるという意味

図解:ヒグマとツキノワグマの違い

こちらはヒグマ(左側)とツキノワグマ(右側)の比較を、視覚的に分かりやすく描いたイラストです。

それぞれの特徴が一目でわかるよう、体格、毛色、模様などを強調しています。以下はイラストのポイントを解説。


表:ヒグマとツキノワグマの特徴比較

特徴ヒグマツキノワグマ
体格非常に大きく、がっしりとした体格小柄でスリムな体格
毛色茶色(地域により黒や金色も)黒色、胸に白い三日月模様
耳の形状丸く短い尖ってやや長い
行動特性力強い俊敏
生息地北海道や広範な寒冷地本州、四国、九州の森林地帯
  • 左側のヒグマ
    • ヒグマは、毛色が茶色く、全体的に大きくがっしりとした体格を持っています。耳は丸く短い形状が特徴です。背景に広がる寒冷な森林環境が彼らの生息地を示しています。
  • 右側のツキノワグマ
    • ツキノワグマは黒い毛色に加え、胸に白い三日月模様があるのが特徴的です。耳が尖っており、体格は小柄でスリムな印象です。背景には日本の山地森林が描かれています。

この記事では、ぞれの特徴を詳細に比較し、自然界での役割や人間との関わり方について理解を深めてきました。

ヒグマとツキノワグマの違いを思い出し、彼らの生きる世界を想像してみてください。自然を楽しむだけでなく、そこに生きる命を大切にする視点を持つことで、より豊かな体験が得られるはずです。

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この記事の執筆者 / 監修者

らみえる
らみえる
▷動物専門・ペット特化ライター&デザイナー
▷慶應義塾大学卒
▷会員制ねこ専用ホテル&シッター・キャッツカールトン代表
▷動物取扱責任者・愛玩動物飼養管理士
▷現在は猫4匹との暮らし。幼少時から犬、リス、うさぎ、鳥、金魚などさまざまな動物と過ごし、生き物を愛してやまない毎日。
▷前職は一般企業で広報、編集校正やってました。
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