「熊 黒」と検索すると、多くは“目の下のクマ(隈)”に関する美容記事が表示されます。
しかし実際には、自然界にも“黒い毛色を持つ熊”が存在します。
日本ではツキノワグマ、世界ではアメリカクロクマなどがその代表格です。
また、「黒熊」と呼ばれるものが何を指すのか、さらに「白熊(ホッキョクグマ)」との違いについても、意外と知られていません。
本記事では「黒い熊=クロクマ」の正体や種類を整理し、白熊との違いもわかりやすく解説していきます。
なお、日本に生息するヒグマとツキノワグマの詳しい違いについては、別記事『ヒグマとツキノワグマの違い完全ガイド』で解説しています。

黒い熊=クロクマは本当にいるの?
「クロクマ」という言葉は、日本語ではあまり日常的に使われません。ですが、海外では“Black Bear”という実在の熊の種が存在します。
また、日本国内にも「黒い毛の熊」としてツキノワグマがおり、胸に白い模様を持つのが特徴です。
さらに北海道に生息するヒグマの中にも黒っぽい毛色の個体が見られるため、「黒い熊」と表現されることがあります。
つまり「黒い熊」とは、特定の1種類を指すのではなく、黒い体毛を持つ熊の総称として使われるケースが多いのです。
世界にいる黒い熊の代表的な種類

アメリカクロクマ(Black Bear)

北米に広く生息する代表的な黒い熊で、英語名そのまま「Black Bear」と呼ばれます。
体長は1.2〜2mほどで、雑食性。果物や昆虫を食べることが多いですが、小型動物を捕食することもあります。
名前の通り黒い毛色が一般的ですが、実はシナモン色や茶色など、個体差も豊富です。
ツキノワグマ(Asian Black Bear)

日本では本州・四国に生息する熊で、胸に三日月型の白い模様を持つのが特徴。
英語では「Asian Black Bear」と呼ばれ、まさに“黒い熊”の代表格です。
体格は比較的小型で、主に木の実や果実を食べる臆病な性格ですが、人里に出没することもあります。
黒っぽいヒグマ(Brown Bear)

北海道に生息するヒグマは「ブラウンベア」と呼ばれますが、毛色は地域や個体によって変化します。
赤褐色や金色の個体もいれば、ほぼ真っ黒に近い毛色をしたヒグマも存在します。
そのため、目撃者が「黒い熊を見た」と表現することも珍しくありません。
「ツキノワグマについては、ヒグマとの違いを詳しく解説した比較記事でも紹介しています。

シロクマとの違い…ホッキョクグマの皮膚は黒い?

「黒熊」と対比されることの多い「白熊」は、ホッキョクグマのことを指します。世界最大の肉食陸上哺乳類です。
白熊は北極圏に生息し、体毛は白く見えますが、実際の皮膚は黒色をしています。
白く見える毛は実は透明で、毛の中の空洞による光の乱反射と黒い皮膚の反射によって白く見えるしくみ。寒冷地に適応するため、黒い地肌で太陽光を効率よく吸収し、透明な毛が断熱やカモフラージュを担っています。

一方、黒熊(ツキノワグマ・アメリカクロクマなど)は温帯〜亜寒帯の森林に生息し、食性も植物中心。
白熊はアザラシなどを主食にする肉食性が強く、体格も大きく力強いのが特徴です。
黒熊=森林にすむ雑食型、白熊=極地にすむ肉食型
この違いを押さえると、両者の生態がより理解しやすくなります。
黒い熊と遭遇したらどうすればいい?

日本で“黒い熊”として出会う可能性があるのは、主にツキノワグマです。
遭遇してしまった場合は、
- 刺激せず、ゆっくり後退する
- 熊鈴や声を出して自分の存在を知らせる
- クマの糞や足跡を見つけたら早めに引き返す
といった行動が基本です。
特に日本で黒い熊と遭遇した場合、ヒグマとツキノワグマでは対処法に違いがあります。なお、より詳しい「ヒグマとツキノワグマの危険性や対処法」については、別記事(内部リンク)で解説しています。

Q&Aでわかる「黒い熊」のギモン

Q. クロクマはツキノワグマのこと?
A. 日本で「クロクマ」と呼ばれるときは、多くの場合ツキノワグマを指しています。
胸に白い三日月模様を持つ黒い熊で、本州や四国に生息しています。
一方で、海外では「クロクマ=アメリカクロクマ(Black Bear)」を意味することが多いため、文脈によって指す種類が変わります。
Q. 黒熊(クロクマ)とパンダは関係ある?
A. 「白黒の熊」としてパンダを思い浮かべる人もいますが、実は別の種類です。
ジャイアントパンダはクマ科ですが「ジャイアントパンダ属」、クロクマは「クマ属」に分類されます。
進化のルーツも異なるため、名前や見た目が似ていても、直接の関係はありません。
Q. 黒い熊はペットにできる?
A. できません。ツキノワグマやアメリカクロクマは野生動物であり、飼育は法律で禁止されています。
国内で熊を飼えるのは動物園や保護施設に限られており、一般家庭で飼うことはできません。
もし「ペットにできるのでは?」と思った方は、必ず動物園や保護施設で観察するようにしましょう。
Q. 熊の色で危険性は変わる?
A. 危険性は毛色ではなく「種」によって変わります。
- ヒグマ(北海道):国内最大の陸上動物。体重は500kgを超えることもあり、危険性が非常に高い。
- ツキノワグマ(本州・四国):体格は小さく臆病ですが、人を襲う事故も報告されています。
つまり「黒い熊だから危険」「茶色い熊だから安全」という単純な話ではなく、どの種かを知ることが重要です。
シンボルやマスコットとしての黒熊
- 海外のスポーツチームのマスコット
- 日本でもキャラクター化されることがある
黒い熊(クロクマ)は、スポーツチームや地域の象徴として幅広く用いられています。
大学のマスコットにも多く採用されており、「力強さ」「地域性」「親しみやすさ」を兼ね備えた非常に魅力的なキャラクターとして機能しています。
くまモン(熊本県):
な、な、なんと!ボクが指揮をするオーケストラの開催が決定したモン!指揮の練習、がまだすモーン☆くましくは、こちらをチェッくま〜!https://t.co/SuhhwwCMNf pic.twitter.com/vqZAGOh6aL
— くまモン【公式】 (@55_kumamon) August 19, 2025
黒熊そのものではないですが、熊をモチーフにした最も有名なゆるキャラです。
バンダビ(平昌パラリンピック):
平昌パラリンピック明日開幕となります!
— 日本パラリンピック委員会 (@paralympic_jpc) March 8, 2018
現地では天候の変化が激しく、平昌パラリンピックマスコットのバンダビも困り果てております。#PyeongChang2018 #パラリンピック pic.twitter.com/X2gDGzZLBY
ツキノワグマがモチーフの公式マスコットとして採用されました。
日本でも、ツキノワグマをモデルにしたゆるキャラや、イラスト作品などが登場しています。
動物園や自然保護団体では、黒熊のイメージを活かして保護活動への理解を広める取り組みも行われています。
Bananas T. Bear(メイン州立大学・University of Maine)
@BananasTBear in the house! 🐻 @BlackBearsWBB | #PartnerwithUMaine pic.twitter.com/YU1TarTzqe
— Black Bear Sports (@BBSPMaine) September 8, 2019
- 対象動物:アメリカクロクマ(Black Bear)
- 概要:1914年よりメイン大学のマスコットとして黒熊(Black Bear)が使用されてきました。初代は“Jeff”という実在の子熊で、のちにコスチューム化され「Bananas T. Bear」として愛され続けています。 ウィキペディアThe University of Maine
Rebel Black Bear(ミシシッピ大学・University of Mississippi)
Today’s true crime was having a rip off of the Rebel Black Bear as your mascot….that’s so Ole Miss 2017. 😬🤣 pic.twitter.com/cZcItKERvX
— CoastRebDMR (@CoastRebDMR) September 2, 2023
- 対象動物:アメリカクロクマ(Black Bear)
- 概要:かつての伝統的ながら問題視されたマスコット「Colonel Reb」から、新たに「Rebel Black Bear」に置き換えられました。文学作品に基づいたキャラクター変更で、より現代的で包容力ある象徴に刷新されています.
Baylor University(ベイラー大学)
Make sure to grab your black and anthracite for Mission Black Ops tomorrow night ⚫️
— Baylor Athletics (@BaylorAthletics) September 13, 2024
Stop by the @BaylorBookstore or get your fit when you arrive at @mclanestadium 🏈#SicEm pic.twitter.com/uJFiHYa8Gu
- 対象動物:アメリカクロクマ(Black Bear)
- 概要:かつては生きた黒熊(Judge Indy, Judge Belle)を使用していましたが、現在はコスチュームマスコット「Bruiser」とそのパートナー「Marigold」がチームを盛り上げていますウィキペディア。
Porter(Kalamazoo Growlers 野球チーム)
#NewYearNewMe https://t.co/3xBrHf8dgF
— Porter (@KzooPorter) January 19, 2018
- 対象動物:アメリカクロクマ(Black Bear)
- 概要:野球チーム「Kalamazoo Growlers」の公式マスコット。地元文化と名前の「Growler(ビール容器)」を掛け合わせ、クロクマを擬人化しています。
「日本にいる黒い熊についてさらに詳しく知りたい方は、関連記事『ヒグマとツキノワグマの違い完全ガイド』を参考にしてください。」

まとめ
- 「黒い熊=クロクマ」は実在し、代表的なのはアメリカクロクマとツキノワグマ。
- 北海道のヒグマの中にも黒っぽい個体がいる。
- 白熊(ホッキョクグマ)との違いは、生息地・食性・体格にある。
- 日本で“黒い熊”と遭遇する場合、多くはツキノワグマ。
黒い熊は決して空想上の存在ではなく、私たちの身近な自然にも生きています。
興味を持った方は、さらに詳しい比較記事「ヒグマとツキノワグマの違い完全ガイド」もチェックしてみてください。
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この記事の執筆者 / 監修者

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動物専門・ペット特化のWebライター・ディレクター・デザイナー。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、大手企業で広報や編集校正の仕事を経て、猫専門ペットホテル猫専門ペットホテル・キャッツカールトン横浜代表、動物取扱責任者、愛玩動物飼養管理士。
幼少期から犬やリス、うさぎ、鳥、金魚など、さまざまな動物と共に過ごし、現在は4匹の猫たちと暮らしています。デザインと言葉で動物の魅力を発信し、保護活動にもつなげていきたいと思っています。