2025年の熊被害は196人に|環境省が4〜10月の状況を発表

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熊の総まとめガイド(2025年版)」では、日本の熊の 種類・生息地・冬眠・出没情報・熊牧場までを一つに整理した“熊の百科事典”的なページです。

今読んでいるテーマとも関連が深く、あわせて読むことで熊の生態や最新の出没傾向を立体的に理解できます。

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目次

被害196人…今年の熊被害はなぜ増えた?

今年は全国で熊の被害が急増し、4〜10月だけで196人に達しました。昨年の2倍以上となり、全国的に「これまでにない事態」と言われています。まずは今年の全体像を整理します。

出典①:環境庁熊に関する各種情報・取組

出典②:環境庁令和7年11月17日発表速報値より

4〜10月だけで昨年の2倍以上

環境省が11月に発表したところによると、2025年4〜10月の熊による人身被害は全国で196人にのぼりました。昨年の79件から大幅に増えており、山だけでなく住宅地の近くでも遭遇するケースが目立っています。特に秋田・岩手では連日のように目撃情報が入り、「気をつけていても突然遭遇してしまう」状況が広がっています。

死亡者も12〜13人と深刻

報道によって数が少し異なりますが、死亡者は12〜13人と非常に多い年となりました。農作業や散歩、通勤途中にクマと鉢合わせしてしまう事故もあり、地域では「普段の生活圏に近づいている」と不安の声が上がっています。


10月に集中!1カ月で88人も被害に

特に10月は、わずか1カ月で88人が被害に遭うという異常事態に。なぜ秋に急増したのか、背景にはクマの食べ物事情がありました。

ブナの実が大不作で“食べ物探し”が市街地へ

今年はクマの大切な食べ物であるブナの実が全国的に不作でした。そのため、食料を求めて人里へ下りてくる個体が増え、10月だけで88人もの被害が発生しました。「家の近くで見た」という報告も多く、市街地でも油断できない状況です。

町に出る「アーバンベア」が全国で増加中

最近は“アーバンベア(町に出てくるクマ)”も増えており、北海道や東北だけでなく、中部や関東でも姿が見られるようになっています。専門家は「人の生活エリアとクマの生活圏が重なってきている」と指摘し、長く続く課題として注意を呼びかけています。


どこで起きている?都道府県別の最新状況

被害は全国に広がっていますが、特に多い地域が東北地方です。住宅街や学校付近での遭遇もあり、生活圏に近づいていることが不安視されています。

秋田県:56人(死亡3人)

秋田県では今年もっとも多い56人の被害が確認されました。山だけでなく住宅街の近くにも出没し、学校や地域ぐるみで警戒が続いています。死亡例も出ており、緊張感の高い状態です。

岩手県:34人(死亡5人)

岩手県でも34人が被害に遭い、死亡者は5人と全国でも最も多くなりました。畑仕事や山菜採りの最中に遭遇するケースが目立ち、地域では「1人で山へ入らない」「早朝の作業は避ける」など、日常の中でできる対策が広がっています。

福島県:20人(死亡0人)

福島県では20人が被害に遭いましたが、幸い死亡例はありません。住宅地や通学路付近での目撃も増え、登下校時間に見回りを行う地域も出てきています。

北海道・東北に集中 住宅街や通学路近くでの遭遇も

全体としては北海道・東北に被害が集中しており、気候変動による食料不足や森林環境の変化など、複数の要因が重なっているとみられています。


昨年と比べるとどう違う?

昨年は79件と比較的落ち着いていた一方、今年はその2倍以上。木の実の豊凶、気候の違いなど、さまざまな要因が影響しています。

去年79件→今年196人の大幅増

昨年の同時期は79件でしたが、今年は196人と倍以上に増えました。昨年は木の実が豊作だったため出没が少なかったのに対し、今年はその逆でクマが広い範囲を移動していることが大きく影響しています。

「過去最多ペース」と言われる理由

今年は全国の広いエリアで出没が多く、街の近くでの被害も増えています。そのため、従来のように「山に気をつければOK」という状況ではなくなっており、メディアでも「過去最多ペース」と大きく取り上げられています。


どうして人里に来るの?専門家が見る原因

クマは本来、人を避ける動物。それでも町に出てきてしまうのはなぜか。生態や環境の変化からその理由をわかりやすく解説します。

餌不足・環境の変化がクマを“町へ”近づける

クマは本来、人を避ける動物ですが、餌が少ない年はリスクを冒して移動範囲を大きく広げます。さらに、住宅地が山に近づいている地域では、クマとの距離が自然と縮まってしまうこともあり、偶発的な事故が起こりやすくなります。

朝夕の外出や農作業で遭遇しやすい理由

今年は早朝と夕方に遭遇するケースが多く見られました。この時間帯はクマも積極的に動くため、散歩や畑仕事のタイミングと重なりやすいことが理由です。住宅地でも、ゴミ置き場や生ごみの匂いに引き寄せられるケースがあります。


地域ではどんな対策が進んでいる?

自治体も今年の状況を受け、さまざまな対策を強化しています。情報発信の仕組みや地域住民への呼びかけなど、現場の取り組みをまとめます。

出没情報をアプリやメールで即配信

自治体では出没情報をメールやアプリで素早く知らせる仕組みを整えています。「見かけたらすぐ連絡を」というルールを地域で徹底し、子どもや高齢者の安全確保に努めています。

ゴミ・生ごみ対策やクマ鈴の配布が広がる

クマ鈴やラジオの活用、ゴミを外に出しっぱなしにしないなど、日常生活の中でできる工夫が求められています。地域によっては講習会を開き、正しい対処法を知ってもらう取り組みも行われています。


私たちが今日からできる熊対策

「自分の地域にも出るかも…」そんな不安を感じる人が増えています。山でも町でも、今日からできる簡単な熊対策をご紹介します。

山に入るときの“3つの基本”

登山や山菜採りでは、音を出して自分の存在を知らせるのが最も簡単で効果的な方法です。早朝・夕方の行動は避け、子連れのクマを見かけた場合は絶対に近づかないよう気をつけましょう。

  • 音で存在を知らせる
    クマ鈴やラジオを鳴らし、自分の存在をクマに伝えることで、多くのクマは自ら離れていきます。
  • 早朝・夕方の行動を避ける
    クマがもっとも活発になる時間帯なので、遭遇リスクが高まります。
  • 食べ物やゴミの匂いを残さない
    匂いにつられてクマが近づくことがあるため、山や駐車場にゴミを置きっぱなしにしないことが大切です。

住宅地で見かけたら

住宅街でクマを見かけた場合は、驚かせたり追い払おうとしたりせず、静かにその場を離れることが最優先です。クマに背を向けて走ると“追いかけモード”に入る場合もあるため、ゆっくり距離をとりましょう。

安全な場所に移動したら、自治体や警察に連絡し、近所とも情報を共有します。

また、生ゴミやペットの餌を外に置かないなど、家まわりの“匂い対策”も日頃から意識しておくと安心です。


まとめ|今年は“生活の近く”までクマが来ている年に

今年は熊の被害が全国で196人と、大変深刻な数字になりました。山の食料事情や環境の変化が重なり、これまで以上に人の生活エリアへ出没するケースが増えています。自治体の対策だけでなく、私たち一人ひとりが日常生活の中でできる対策を知っておくことが、事故を防ぐためにとても大切です。

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この記事の執筆者 / 監修者

らみえる
らみえる
動物専門・ペット特化のWebライター・ディレクター・デザイナー。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、大手企業で広報や編集校正の仕事を経て、猫専門ペットホテル猫専門ペットホテル・キャッツカールトン横浜代表、動物取扱責任者、愛玩動物飼養管理士。
幼少期から犬やリス、うさぎ、鳥、金魚など、さまざまな動物と共に過ごし、現在は4匹の猫たちと暮らしています。デザインと言葉で動物の魅力を発信し、保護活動にもつなげていきたいと思っています。
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