ヒグマとツキノワグマの違いを徹底解説

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日本にはヒグマとツキノワグマという二種類のクマが生息しています。それぞれのクマは大きく異なる特徴を持ち、生活環境や生態にも違いがあります。この記事では、ヒグマとツキノワグマの違いやそれぞれの特徴に焦点を当て、詳しく解説していきます。さらに、2種のクマが持つ独自の特質や生息地、外見上の違い、習性などについても探っていきます。これにより、日本で見かけるこれらのクマについて、より深い理解を得ることができるでしょう。

目次

ヒグマとツキノワグマの違いを徹底解説

ヒグマとツキノワグマは、日本にいるクマとしてよく知られていますが、その生態や特徴には大きな違いがあります。体の大きさや生息地域、性格など、それぞれがどう異なるのかを確認していきましょう。

ツキノワグマもヒグマも「ネコ目クマ科」に属します。

分布の違い

日本での分布域は、ツキノワグマが本州と四国、ヒグマが北海道と、明確に分かれています。この分布の境界線は津軽海峡であり、氷河期の気候変動によってそれぞれのクマが適した環境に生息地を移動した結果とされています。この地理的な分布の違いにより、地域ごとにクマに出会う可能性が異なります。

ツキノワグマヒグマ
本州・四国
九州では絶滅?
北海道

大きさの違い

ツキノワグマとヒグマの体のサイズと形状には顕著な違いがあります。ツキノワグマは平均的に120センチから180センチの大きさで、本州や四国の山岳地帯でよく見られます。体形は丸みを帯び、小柄であることが多いです。

一方、ヒグマは170センチから280センチとかなり大型で、北海道に生息しています。ヒグマの体形はよりがっしりとしており、肩の筋肉が特に発達しています。これらのサイズと形状の違いは、ヒグマの重厚さとツキノワグマの軽快さを象徴しています。

ツキノワグマヒグマ
1.1-1.5m やや小さめ
体重40〜150kg
1.3-2m 大きい
体重350kg近くも

体重の違い

体重についても、ツキノワグマとヒグマでは大きな差があります。一般的に、ツキノワグマはオスの体重が約80キロ程度で、最大でも130キロ程度です。一方、ヒグマは成獣で150キロから250キロに達し、中には400キロになる個体もいるとされています。これらの体重の違いは、生息地での食物の豊かさや生活習慣にも大きく関係しています。

模様の違い

ツキノワグマの特徴的な黒い体毛には、胸に白い「月の輪」模様があり、これがその名前の由来となっています。この白い模様は個体差がありますが、多くの個体に見られる特徴です。対して、ヒグマの毛色は茶色や黒褐色が一般的で、月の輪のような模様はありません。個体によっては金色のような毛色を持つこともあります。毛色や模様によって、遠くからでも識別する手がかりになるでしょう。

ツキノワグマヒグマ
三日月のような模様があるのが多い三日月模様がないのが基本

毛の色の違い

ツキノワグマヒグマ
黒っぽい赤茶色っぽい

色の違い

ツキノワグマヒグマ
黒っぽい赤茶っぽい

足跡の違い

クマの足跡にも、ツキノワグマとヒグマでは違いがあります。ツキノワグマの足跡は横幅が狭く、指が長めであるため、歩行時に指の跡がはっきり残ることが多いです。一方、ヒグマの足跡はがっしりしていて、全体的に幅広く、指先まで続く爪の跡が深く刻まれます。これらの足跡は、登山やハイキング中に見られることがあり、どちらのクマが近くにいるかを判断する材料となります。

食性

食性にも違いがありますが、どちらも雑食である点は共通しています。ツキノワグマは主に植物を食べ、特に新芽や果実、ドングリ類を好みます。一方、ヒグマも植物を主食としながらも、夏期には昆虫や農作物を求めて出没することがあり、さらには生物の死骸やシカを襲うこともあります。ヒグマは特に昆虫を効率良く採食することで知られています。

ツキノワグマヒグマ
森で木の実草原でも活動・肉も食べる

行動

行動パターンに関しては、ツキノワグマは特に木登りが得意であり、高所での活動を行うことがあります。また、特定の縄張りを持たないのも特徴です。一方で、ヒグマは移動範囲が広いため、山から人里まで赴くことがあります。この行動の結果として、人間の生活圏に影響を与える場合があるため、注意が必要です。

ツキノワグマヒグマ
木に登る体が重いので木に登らない

鳴き声の違い

クマが発する鳴き声や音については、普段の生活で聴くことは少ないですが、その発生状況には違いがあります。ツキノワグマは比較的静かな傾向があり、危険を感じたときに威嚇の声を発します。ヒグマは多様な声を使い分けることが知られ、とくに不安や威嚇の際に大きな音を立てます。これらの違いを知ることは、野生においてクマの存在を察知する手がかりとなるでしょう。

文化の違い

クマは日本の伝統文化や信仰においても重要な位置を占めています。

ヒグマ

特にヒグマはアイヌ文化において神とされています。「キムンカムイ(山の神)」として崇拝され、その皮や肉、骨まですべてが生活の糧となっていました。彼らにとってヒグマは単なる動物ではなく、生活の中心に位置する存在でした

ツキノワグマ

一方でツキノワグマもまた、多くの地方で伝説や物語の中に登場します。農村地域では、ツキノワグマが現れると「山の神が見ている」として神聖視されることがあり、彼らの存在が人間と自然の関わりを再確認させる役割を果たしています。このように、クマは単に自然環境の中で存在する生物というだけでなく、人々の文化や生活に深い繋がりを持って存在していることが見受けられます。現代においても、その重要性を尊重しつつ、クマたちと安全に共存するための方法を模索することが求められています。

おまけの知識

北極のホッキョクグマは肉しか食べない

出典:環境庁資料

北海道 2
青森 11 0
岩手 492
宮城 0
秋田 700
山形 0
福島 15 0
茨城 
栃木 0
群馬 0
埼玉 0
千葉 0
東京 0
神奈川 
新潟 100
富山 91
石川 50
福井 0
山梨 0
長野 121
岐阜 0
静岡 0
愛知 0
三重 0
滋賀 
京都 0
大阪 0
兵庫 0
奈良 0
和歌山 
鳥取 
島根 0
岡山 0
広島 0
山口 
徳島 
香川 
愛媛 0
高知 0
計 198 6
出典:環境庁資料より

農作物への被害は4億縁(令和4年度)

クマに関する書物

羆嵐 (新潮文庫) 吉村昭

わたしが過去に読んだ本で最も印象に残った本の一つ。実際に北海道で起こった日本獣害事件最大の惨事のドキュメンタリー。夏のロッジやキャンプ場で読んだら間違いなく眠れなくなります。

北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現! 

日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

熊嵐 解説より

クマ打ちの女(新潮社)安島薮太

しれとこのきょうだい ヒグマ ヌプとカナのお話(平成20年 知床財団)

熊撃ち 小学館 久保俊治

ヒグマグマ 奥谷道教

ヒグマとツキノワグマの共存と地域環境

ヒグマとツキノワグマが生息する地域では、彼らとの共存が大きな課題となっています。そのため、自然環境保護と地域住民の安全確保が求められます。クマたちの生息地における環境整備は、地域全体の生態系に大きく影響します。

共存のための取り組み

最近では、ヒグマとツキノワグマそれぞれに配慮した共存プログラムが試みられています。地元自治体や研究機関が協力し、クマの生活圏と人間の活動エリアを区別するための施策が進められています。具体的には、クマの活動範囲を監視するためのGPS追跡や、ヒグマの野生復帰プログラム、野生のクマが人里に出てこないようにするための食料管理が挙げられます。これらの努力は、クマと人間の摩擦を減少させ、地域の生態系を守るために重要なステップとなります。

地域におけるエコツーリズムの可能性

クマの生息地が観光資源としても活用されています。特に、ヒグマ観察ツアーは北海道で人気を集めています。これらのエコツーリズムは、自然環境とその保護に対する意識を高める機会を提供しています。このような観光活動を通じて、地域の経済を活性化しつつ、自然環境の重要性を伝えることが可能となります。しかし、観光活動が生態系に及ぼす影響を最小限に抑えるため、観光地として管理された区域での活動に限定し、クマの行動や生息環境を尊重するガイドラインが求められています。

クマ保護における地元コミュニティの役割

地元コミュニティは、クマの保護と管理において重要な役割を果たしています。地域社会が一致団結してクマとの共存を目指すことで、個別の取り組みよりも効果的な結果を生むことができます。例えば、地域内のクマの活動情報を共有したり、クマが人間の食料にアクセスするのを防ぐための策を講じたりすることが一般的です。また、子供たちへの教育プログラムを通じてクマについての正しい知識を普及し、将来的な共存意識の確立を目指しています。こうした地域ぐるみの取り組みは、クマの生態を尊重しつつ共存するために欠かせない要素です。

クマの違いと人間との共存に学ぶべきこと

ヒグマとツキノワグマにはそれぞれ異なる特徴や生態がありますが、両者と共に生きるためには人間の助力と理解が不可欠です。日本には古くからクマとの関わりがあり、それは現在でも続いています。生息地の保全と地域社会の理解を深めることが大切です。クマを観察し、学び、共存を図ることで、地域の自然環境をいかに守り、次世代へと引き継ぐことができるかが問われています。これを達成するには、地元コミュニティ、自然保護団体、政府が一体となり行動することが不可欠であり、共に未来へ向けた歩みを進める力が与えられるのです。

この記事の執筆者 / 監修者

らみえる
らみえる
▷動物専門・ペット特化ライター&デザイナー
▷慶應義塾大学卒
▷会員制ねこ専用ホテル&シッター・キャッツカールトン代表
▷動物取扱責任者・愛玩動物飼養管理士
▷現在は猫4匹との暮らし。幼少時から犬、リス、うさぎ、鳥、金魚などさまざまな動物と過ごし、生き物を愛してやまない毎日。
▷前職は一般企業で広報、編集校正やってました。
▷多趣味で神社検定とかいろいろ資格あり
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