ヨウムGray Parrot

ヨウム
カテゴリ インコ
種類 ヨウム
英語表記 Gray Parrot
大きさ 体長33cm
重さ 300~500g
平均寿命 50年程度

ヨウムの特徴

オウム目インコ科に分類される鳥です。漢字では「洋鵡」と表記します。大型インコの中ではペットバードとして最もポピュラーな種です。鳥類の中でも特に賢いことが知られており、知能は人間の5歳児に相当し、情緒は2歳児程度にまで成熟すると言われています。このため飼育した際にもコミュニケーションがとりやすく、ペットとして人気の品種となっています。全体的に淡い灰色の羽毛に覆われ、風切り羽根は黒、尾羽は赤となっています。顔に羽毛はなく、白くなっているのが特徴です。平均寿命約50年という非常に長い寿命を持ち、飼い主の半生に寄り添うことになる場合がほとんどです。

ヨウムの性格

ヨウムの飼い方

野生では気温20~30度、湿度60~80%程度の環境下に生息しています。ヨウム自体の体温も40度と高めです。ケージ内で飛び回るわけではありませんが、羽根を広げたり動きまわってもぶつからない程度の広さは必要です。ケージは飼い主の姿が見える場所に設置し、積極的にコミュニケーションの時間を確保しましょう。ストレスや運動不足を予防するためにも、放鳥は毎日1時間以上を目安に行いましょう。本来は湿度の高い環境で生息する生き物ですので、水浴びを大変好みます。霧吹きなどで優しく水しぶきを当ててあげると非常に喜んでくれることでしょう。また、ヨウムは日に当たることでビタミンDを生成します。放鳥の時以外にも、積極的に日光浴の時間を与えましょう。食事は市販のペレットが主流です。個体によっては好き嫌いすることもあり、野菜やボレー粉(牡蠣の貝殻を細かく砕いたもの)、果物、種子類など様々なものを試してみると良いでしょう。ヨウムはビタミンD、ビタミンA、カルシウムなどが不足しがちなことで有名です。ビタミンDは日光浴をさせることで、ビタミンAやカルシウムは食事で補うよう心がけましょう。ビタミンA不足になると尾羽の赤色が褪せてしまいます。大型インコとしては大人しい性格のヨウムですが、鳴き声は比較的大きめです。都心部のマンションで飼育する際には防音対策が必須になってくることを念頭に置いておきましょう。

ヨウムの歴史・起源・生態

原産地はアフリカです。主にアフリカ西海岸の低温地から高地の森林に生息しています。主食は種子や果物です。野生における平均寿命は50年程度とされていますが、良好に整えられた環境では100年近く生きられるとも言われています。4000年前のエジプトで象形文字として登場していたり、ヨーロッパ貴族や王家で飼育されたりと、古くからペットとして人間と関わりのある動物です。ヨウムは2016年に開催されたワシントン条約の締約国会議により、学術や研究目的以外での輸出入が禁止されました。このため、現在はペットとしての野生個体を海外から輸入できなくなっています。日本国内にもヨウムのブリーダーが存在しており、日本産ヨウムの個体数は増加傾向にあるようです。しかし入手難易度が高いことに違いはなく、人気でありながら希少、という立ち位置は今後も続いていくことになるでしょう。

ヨウムの気を付けたい病気

毛引症、ビタミンD欠乏症、カルシウム欠乏症、オウム病、アスペルギルス症

ヨウムの一口メモ

ヨウムの価格相場は2022年現在25~50万円です。1976~2007年まで生きた「アレックス」は非常に賢いヨウムとして有名で、ヨウムという鳥の賢さを世界に知らしめるきっかけとなった一匹です。飼い主であり動物心理学の博士であるアイリーン・M・ペパーバーグ氏によるとアレックスは50種類の物品や7つの色を認識し、数を6つまで数えることが可能で、同じ・違うという概念までをも理解していたとのことです。アレックスが死去する前の日の夜に「You be good, see you tomorrow. I love you.」と博士に語りかけたというエピソードからは、ヨウムの持つ高い知性と優れたコミュニケーション能力をうかがい知ることが出来ます。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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