タヌキRacoon dog

タヌキ
カテゴリ 中ぐらいの動物
種類 タヌキ
英語表記 Racoon dog
大きさ 50~80cm
重さ 4~10㎏
平均寿命 10年

タヌキの特徴

哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科タヌキ属に分類される動物です。タヌキを表す漢字は「狸(貍)」「狢(貉)」「猯(貒)」といったものがあり、地方名で「団三(ダンザ)」「アナッポ」「アナホリ」「カイネホリ」「トンチボー」「ハチムジナ」「バンブク」「ボーズ」「マメダ」「ヨモノ」と呼ばれることもあります。ずんぐりむっくりな体型に茶褐色でふわふわの被毛で覆われた姿が印象的ですが、これは冬場特有の姿であり、実際には手も足も尾も眺めで、顔つきはかなり犬に似ています。そのため人間が子ダヌキを迷い犬と勘違いして拾い、そのまま飼育して、後に実は自分のペットが犬ではなくタヌキだったことを知る、という事例もしばしば発生します。

タヌキの性格

臆病で警戒心の強い性格です。「たぬき寝入り」という言葉は、「眠っていないのに眠ったふりをする」「都合の悪い時などに、わざと寝たふりをする」という意味で使われますが、実際のタヌキがそういった方法で人をだますことはなく、猟銃などの大きな音に驚き、ショックを受け、一時的に気絶してしまう様に由来した言葉です。大きな音以外にも、馴染みのないものに対して非常に臆病です。人の生活圏近くに住むタヌキの交通事故の発生率が高いのも、車のライトの明るさに驚いてその場で硬直し、逃げることが出来なくなるためと言われています。イヌ科の動物であり、長い時間をかけて丁寧に世話をすることで信頼関係を築くことは可能です。複雑な芸を仕込むことが出来るかは個体によって違いがありますが、人に懐けば甘えてきたりエサをねだって寄ってきたりといった仕草をするようになります。

タヌキの飼い方

タヌキは「鳥獣保護法」に認定されている動物であり、野性のタヌキを捕まえてきてそのままペットにするといったことは出来ません。しかし怪我をしているなどの理由により、一時的に捕獲・保護する場合にはタヌキの回復まで飼育を認められる場合があります。この際には必ず各自治体に事情を話し、飼育許可の申請を出すようにしましょう。タヌキは頻繁に鳴く動物ではありませんが、威嚇する際には低く、犬に似た声を上げます。また夜行性であり人が休み始める時間帯に活発になるため、近隣の対し物音に気を遣わなければならない場合には居住スペースに騒音対策を施すようにしましょう。雑食性であり、与えられたものはなんでもよく食べるため、食事の面ではあまり苦労しません。継続して飼育する場合には栄養価が高い、バランスに優れている、入手しやすい、という点からドッグフードを中心に与えることが多いようです。副食として野菜や果物、肉、魚などを与えることで、タヌキ本来の雑食性を満たしながら健康的に飼育することが可能です。タヌキだけではなく雑食性の動物には共通して排泄物の匂いがきついという問題があります。トイレは小まめに掃除し、消臭対策も併せて行いましょう。

タヌキの歴史・起源・生態

日本では都市部を含め全国的に生息が確認されますが、元々世界的には珍しい動物でした。かつては日本を含む、朝鮮半島、中国、ロシア東部などの極東にのみ分布する動物でした。そのためタヌキの生息しない地域へ譲渡する際にはパンダ並みに希少な動物として丁重に迎えられ、代わりに国外の珍しい動物の譲渡を受けられるといったことも存在したようです。日本にタヌキは2種類存在し、本州~九州にホンドタヌキ、北海道にエゾタヌキが生息しています。水辺での生活にも適性を持ち、森林地帯を中心に低木や草が深く茂った湖や川の近くを好んで住み着く傾向があります。パートナーとの結びつきが非常に強く、死ぬまで同じ相手と添い遂げます。パートナーが交通事故などで亡くなった場合に、残された相手が事故現場周辺からなかなか離れずウロウロと歩き回る姿が観察されることがあります。行動範囲は地域や季節によって変動が大きく、縄張りに固執する習性はないことが知られています。寒い時期にも冬眠はせず、体重を50%前後増加させて脂肪を蓄えます。写真等でよく見られる、コロコロとした体形で雪の中に埋もれたように佇むタヌキは、一年の中でもっとも太っている時期のものなのです。

タヌキの気を付けたい病気

犬ジステンパーウイルス感染症、疥癬症

タヌキの一口メモ

タヌキはキツネと同様、古くから日本人と深い関わりをもつ野生動物です。食材として、民間療法の薬材として、皮革、毛皮などの服飾の材料として、信仰、ことわざ、童謡のモチーフなど文化の一部として等多くの分野でタヌキの存在を確認することが出来ます。近代に入ると毛皮採取目的の乱獲や生息域と人間の生活圏との接近による事故の多発などの理由から、全国的に絶滅が危惧されるようになりました。現在では、市民ボランティアによる保護活動が活発に行われたり、道路を渡らずに済む動物用トンネルが設置されたりなど、個体数減少に対策が講じられています。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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