ミミズク(木菟)Horned owl

ミミズク(木菟)
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種類 ミミズク(木菟)
英語表記 Horned owl
大きさ 40~60cm※種類によって様々
重さ 120~4200g※種類によって様々
平均寿命 10~30年※種類によって様々

ミミズク(木菟)の特徴

ミミズクには「木菟」「木兎」「鵩」「鶹」「鵂」「角鴟」「鴟鵂」「耳木菟」「耳木兎」など様々な表記が存在します。種の和名は「~ズク」で終わります。フクロウ科の中で羽角(頭部の両端に耳のように見える飾り羽)を持つ種の総称として用いられます。つまりミミズクもフクロウの一種なのです。羽角の役割は明確には判明していませんが、休んだり眠ったりしている間に背景に擬態するためのものであるという説や、同種内でコミュニケーションのために利用している説などが存在しています。ミミズクにおいて、羽角以外で特徴的なのは目と耳です。お面のように平たくなった顔面に、人間のように横に並んだ大きな目は立体視が可能で、対象までの正確な距離を測ることが出来ます。耳の穴は左右で違った位置についており、この非対称性のおかげで周囲の音源の方向・距離などを立体的に認識することが可能となっています。これらの優れた機能をもつ目と耳により、ミミズクは障害物の多い夜の森の中であっても正確にハンティングを行うことが出来るのです。

ミミズク(木菟)の性格

ヒナの頃から上手に育てることで人に馴れ、自分の名前を認識するようになったり、手からエサを食べたり、飼い主の後を追いかけてくれるようになったりします。しかし犬や猫のようにペットとして長年品種改良されてきた動物とは違うため、べったりと甘えてくるような性格の個体はあまり存在しません。種類によっては野性味が強く、攻撃性が高い場合もあります。一般に小型種の方が性格が穏やかな傾向にあるようですが、その子の性格次第では触れ合いではなく観賞用として飼育することになる、ということも念頭に置いておきましょう。

ミミズク(木菟)の飼い方

種類によって大きさや寿命が異なりますが、ペットとして快適に整えた環境下では小型種は10年、中型種は20年、大型種は30年程度生きるとされています。ミミズクは魅力にあふれたペットですが、初心者には飼育の難易度が高いと言わざるを得ません。その要因の大部分を占めるのは「食事」です。ミミズクは肉食です。つまり、ラットやヒヨコなどの新鮮な生肉を食べる必要があります。餌そのものは冷凍されてパック状態で販売されているものが存在するため、入手は簡単です。しかし、毎日食事の度に生き物を捌くといった行為は、慣れるまでは抵抗を感じるかもしれません。飼育環境は通年で気温18~26度を維持する必要があります。ミミズク自体はほぼ無臭です。しかしトイレのしつけは出来ないため、部屋で放し飼いにする場合には糞があちこちに散らかることになります。また肉食のため、消化できなかったものを吐き出した場合の吐しゃ物には匂いがあります。夜行性のため、人間が寝ている時間帯の活動音、羽ばたきや鳴き声などが気になる場合には防音対策の必要があります。ミミズクはケージ内で飼育する時間が長いと人に馴れない可能性が高く、推奨されていません。しかし常に放鳥状態で過ごさせると、部屋全体を自分のテリトリーと認識し人間が立ち入るのを嫌がるようになったり、目を離した隙に誤飲や衝突といった事故が起こるリスクが存在します。そのため、ミミズクが安心して過ごせる場所でアンクレット等を使用し係留しておく方法を取る場合が多いようです。ケージ飼育・係留飼育・放鳥飼育にはそれぞれのメリット・デメリットが存在しますので、その子の性格や飼い主のライフスタイル等を併せて考えながら、最善の方法を選択しましょう。日本ではまだまだ珍しいペットであるミミズクは、診察可能な動物病院が少ないのが現状です。いざという時に焦らないよう、動物病院の情報はあらかじめ収集しておきましょう。

ミミズク(木菟)の歴史・起源・生態

フクロウ目は世界に220種が存在しますが、日本に生息するフクロウは11種とされています。このうち羽角のないミミズクに属するものはオオコノハズク、コノハズク、コミミズク、トラフズク、リュウキュウコノハズク、ワシミミズクです。ミミズクと一口に言っても、種によって様々な特徴を持ちます。北海道と本州の北部に生息するトラフズクは特に長い羽角をもちミミズクの代表格とも言われています。沖縄に生息するリュウキュウコノハズクは季節によって移動しない留鳥であり「コホッ」という鳴き声が特徴的です。ワシミミズクは体が大きく力も強いため、空腹時にはほかのフクロウを襲うこともあり、夜の空で最強とも言われています。

ミミズク(木菟)の気を付けたい病気

餓死、食中毒、骨折、異物誤飲、絞扼壊死(こうやくえし)、熱中症

ミミズク(木菟)の一口メモ

ミミズクの価格相場は2022年現在20~40万円前後が目安です。しかし品種によって値段は大きく変動し、希少な種の場合は100万円を超えることもあり得ます。犬や猫とは違い、小柄なほど値段が安くなる傾向にあります。非常に多くの漢字表記が存在するミミズクですが、「菟」は兎の異体字、「鴟(とび)」はフクロウ・ミミズク・トンビ・タカ科の鳥類を意味する漢字です。うさぎのような耳を持ち、木に棲むことから「木菟」「木兎」「耳木菟」「耳木兎」といった当て字がなされました。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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