ヘビSnake

ヘビ
カテゴリ 爬虫類
種類 ヘビ
英語表記 Snake
大きさ 10㎜~9m程度※種によって様々
重さ ~250㎏※種によって様々
平均寿命 10~15年※種によって様々

ヘビの特徴

ヘビとは爬虫綱有鱗目ヘビ亜目に分類される爬虫類の総称です。トカゲに近い生き物ですが、手足は退化しており、細長い体をしているのが特徴です。世界最大種は約10mにも達するアミメニシキヘビやオオアナコンダ、毒を持つ世界最大種は5m以上になるキングコブラ、世界最小種は約10㎜ほどにしかならないバルバドス・ホソメクラヘビとなっており、種によって全長の差が非常に大きい生き物です。食性は全ての種が肉食性です。よく知られる主食は小型哺乳類、小鳥ですが、大型の種ではシカやワニ等を捕食することさえあります。偏食家でもあるため、品種によって捕食する生き物が明確に分かれていることがほとんどです。変温動物で体温を常に保つ必要がないため、食事の間隔が数日から数週間ほど空いても平気です。獲物を捕食する際には、長い胴体で獲物に巻き付いて締め付け絶命させる、毒蛇の場合は毒牙から毒を注入して動けなくする等の方法をとります。咬みついた獲物は、そのまま顎を動かすことで獲物の体を少しずつ喉の奥へと移動させ、丸呑みします。視力・聴力が弱い種が多いですが、かわりに皮膚感覚が発達しています。一部の種ではピット器官と呼ばれる、赤外線を感知できる器官を目と鼻孔の間に持っています。必ずしも単独生活するわけではなく、繁殖期や寒い時期には群れを作ったりすることもあり、キューバボアと呼ばれる種は集団で協力して狩りを行うことが知られています。日本でペットとして人気のある種はコーンスネーク、ボールパイソン、カリフォルニアキングスネーク、セイブシシバナヘビ、ホンジュランミルクスネーク、コースタルカーペットパイソン、アオダイショウ等です。

ヘビの性格

ペットとして飼育されることの多い品種のヘビは、基本的に臆病で大人しく、滅多に人を噛もうとはしません。デリケートでストレスに弱いですが、丁寧に扱うことで飼い主に懐くことも多いようです。以下に品種ごとの性格の特徴について記載します。コーンスネークは初心者におすすめの品種で、大人しく温厚な性格をしています。ペットとして人気があり人工飼育が進んでいるため人慣れしやすい個体が多いため、他種と比べると触っても嫌がらない個体が多いとされています。原種は濃いオレンジ色ですがカラーバリエーションが非常に豊富であり、見目の楽しさも人気の理由になっています。成長すると1mほどの大きさになります。比較的体が丈夫で寒さに強く、初めてヘビを飼育する人にとって飼育難易度が低い品種です。ボールパイソンは臆病で大人しい性格です。ニシキヘビの仲間であり柄のバリエーションも豊富です。成長すると1.5mほどの大きさになりますが、餌が月2回程度の頻度になります。拒食することで有名な種です。かといって沢山与えても消化不良のエサがお腹の中で腐っていき、体調不良に繋がります。エサに対する反応を見ながら、飼い主がある程度給餌の頻度をコントロールする必要がある種と言えるでしょう。カリフォルニアキングスネークはコーンスネークと並ぶ人気種です。「カリキン」と略称でよばれる場合もあります。食欲旺盛なことで知られており、餌食いが良いことから飼いやすい種です。懐くとエサをねだるためにすり寄ってきたりといった仕草を見ることが出来ます。名前に「キング」と付く種は共食いをすることが多いという法則の例に漏れず、カリフォルニアキングスネークも他のヘビを食べてしまうことがあるため、単独飼いが基本となります。セイブシシバナヘビは臆病な性格で、毒をもつ種です。危険を察知するとひっくり返って「擬死」と呼ばれる死んだふりをすることがあります。成長すると40~60cmほどの大きさになります。ホンジュランミルクスネークは臆病な性格で、ちょっとしたことでもストレスを感じてしまいます。ハンドリングも苦手なため、コミュニケーションを取るのではなく観賞用と割り切る必要があります。ノーマル種は赤黒黄色の3色ですが、独特の色合いと柄を多くの人によって愛好されています。成長すると1.5mほどの大きさになります。コースタルカーペットパイソンは触られても暴れず大人しいため、初心者にも適性があります。ただし成長すると3m以上にもなるので、その分飼育難易度が上がることは覚えておく必要があります。大型のヘビですがハンドリングも可能ですので迫力満点のため、ヘビをたっぷり堪能したい場合におすすめです。アオダイショウは大人しく臆病ですが、嗅覚が非常に発達しているため飼い主の匂いをすぐに覚えます。そのため、ハンドリング可能な代表種とも言われるほどです。成長すると1~2.5mほどで、日本に生息するヘビの中では最も大きなヘビの一種でもあります。

ヘビの飼い方

ヘビをペットとして飼育する際のメリットとしてよく挙げられる点は、基本的にケージの外に出さないため飼育スペースとしてケージの分だけを確保すればよいこと、寿命が長いため一緒に生活できる期間が長いこと、無音・無臭であること、毎日食事を与える必要がないことなどです。寿命については品種によって差があり、コーンスネーク10~15年、ポールパイソンは20年、カリフォルニアキングスネークは20~25年、セイブシシバナヘビは10~20年、ホンジュランミルクスネークは15~20年、コースタルカーペットパイソンは10~20年、アオダイショウ10年前後が目安とされています。ヘビの飼育のために必要なケージは対象のヘビがとぐろを巻いた面積の約3倍程度の大きさのものを用意しましょう。ケージの中には床材、水入れ、温度調節用のヒーター、温度計などを設置します。ヘビは思った以上に力のある生き物ですので、ケージが少しでも緩んでいたり隙間があるとそこを押して脱走してしまいます。しっかりと蓋が締まるタイプのケージである必要があるため、ヘビ飼育専用として売られているケージを買うようにしましょう。ヘビを飼う際のメリットとして体臭がないという点が挙げられますが、体臭がほぼ無い代わりにエサや糞尿についてはかなり臭うことには注意が必要です。また、ヘビは水をよく飲み、水浴びも頻繁に行います。時には水の中で排泄を行いますので、水の清潔さには気を配りましょう。脱皮は種によっても異なりますが、大体は1~2か月に1回行います。脱皮に失敗すると脱皮が出来てない部位が感染症を起こすこともあります。うまく脱皮できていない場合には獣医に診てもらうか適切な道具を用いて脱皮補助を行う、もしくは販売されている脱皮補助剤を使用しましょう。エサはヘビが自力で飲み込めるサイズの小型哺乳類・小鳥になります。冷凍エサが主流であり、その中でもマウス・ひよこ・うずらなどが一般的です。冷凍エサを用いる場合には40℃程度のお湯でしっかりエサの体の芯まで温めてから与えるようにしましょう。解凍が不十分だとヘビが消化不良を起こし体調不良の原因になることもあります。ヘビは偏食する生き物なので、最初は好みを探るためにも複数種のエサを用意し様子を観察するようにしましょう。エサを拒否するようになったら、エサの鮮度、ケージ内の環境、普段触りすぎてストレスを与えていないかなどの点について検討してみましょう。

ヘビの歴史・起源・生態

地上から地中、樹上、海洋に至るまで多くの環境に適応して生息しており、南極大陸などの一部を除いて地球上の全大陸に分布しています。毒を持つヘビは熱帯や亜熱帯に多く生息するという特徴があります。日本においても全国各地に生息しています。3000種類以上存在するヘビですが、すべて肉食です。ひどい偏食家であることが有名で、特定の動物だけをターゲットにして捕食する傾向にあります。ヘビは「毒」のイメージとは切っても切り離せない生き物ですがそれもそのはず、なんと有毒な爬虫類の99%以上をヘビで占めています。蛇のうち毒持ちは25%程度とされており、実際にペットとして人気の種の中にも毒持ちの種はいくつも存在しています。最も強力な毒を持っているのはオーストラリアに生息するナイリクタイパン、アフリカ最強の毒蛇はブラックマンバ、タイガースネーク、アマガサヘビ、攻撃性の高さではタイパンが有名です。近代では独特の動きや色味に魅了された人々によってペットとして飼育されることも増えており、カラーバリエーションにこだわった改良品種なども熱心に行われています。

ヘビの気を付けたい病気

マウスロット、クリプトスポリジウム感染症

ヘビの一口メモ

ヘビの価格相場は品種によっても大きく異なり、2022年現在コーンスネークは5千円~2万円、高いと8万円~、ボールパイソンは1~5万円、高いと20万~、カリフォルニアキングスネークは1~2万円、セイブシシバナヘビは2~5万円、ホンジュランミルクスネークは1~2万円、コースタルカーペットパイソンは2~10万円、アオダイショウは3千~5千円程度が目安となっています。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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