ホッキョクグマ(シロクマ)Polar bear

ホッキョクグマ(シロクマ)
カテゴリ 大きい動物
種類 ホッキョクグマ(シロクマ)
英語表記 Polar bear
大きさ オス:体長200~250cm、メス:体長180~200cm
重さ オス:400~700kg、メス:200~400kg
平均寿命 野生下:15~25年、飼育下:30年前後

ホッキョクグマ(シロクマ)の特徴

ホッキョクグマは哺乳綱食肉目クマ科クマ属に分類され、北極圏の沿岸や島嶼、氷海などに生息する、クマ科最大級の動物です。
全身が白い体毛に覆われているように見えることから「シロクマ」とも呼ばれますが、皮膚の色は黒色です。
実際の体毛は透明で内部が空洞になった特殊な構造をしており、光が散乱することで白く輝いて見えています。この透明な体毛は太陽光を皮膚まで通し、厚い脂肪層と相まって体温を外に逃がさない優れた保温機構を作り出しています。
ホッキョクグマ(シロクマ)は頭部が比較的小さく、首が長く、体全体が流線型に近い形をしているのも大きな特徴です。
これは氷海での遊泳に適応した結果で、時速6.5kmほどで65km以上を泳ぐ能力を持ちます。陸上では短距離なら最高時速40kmで走ることができます。体脂肪率は約50%にも達し、これが厳しい寒冷環境での生存を支えています。

ホッキョクグマ(シロクマ)の性格

ホッキョクグマは基本的に単独行動を好む動物で、繁殖期を除いてほかの個体との接触をほとんど持ちません。 野生下では忍耐力が非常に高く、アザラシが呼吸のために氷の割れ目から顔を出す瞬間をじっと待ち続けるという、粘り強い狩りのスタイルです。
一方で、クマ科の中でも特に危険な動物として知られており、空腹状態であれば人間を含む大型の獲物に対しても積極的に向かっていくことがあります。
オスは子育てには関与せず、飢えが極限に達した際には自分より弱い個体を襲うこともある、過酷な環境が生み出した獰猛さを持っています。
十分に食べられている状態のときは他個体に対して寛大な一面も見られます。大きな獲物が手に入った際には複数頭で分け合って食べたり、子育て中のメス同士が互いの子グマを一緒に遊ばせる様子も確認されており、環境次第で社会的な行動をとる動物です。

ホッキョクグマ(シロクマ)の飼い方

ここでは動物園での適切な飼育管理の考え方を中心にご紹介します。
ホッキョクグマはクマ科の中でも最も肉食性が強く、野生下ではアザラシを主な獲物としています。飼育下では魚や肉を中心にバランスよく与え、氷塊の中に食べ物を入れるなど、自然な採食行動を引き出す工夫(フードエンリッチメント)が推奨されています。野生では毎日決まった時間に食事をするわけではないため、飼育下でも給餌スケジュールをあえて不規則にすることが動物福祉の観点から望ましいです。
陸生動物の中で最も広い行動範囲を持つ動物のため、可能な限り広いスペースの確保が必要です。
泳ぎが得意なクマでもあるため、大きく深いプールを常に用意することが不可欠です。 暑さには非常に弱いため、常に日陰と冷水が利用できる環境を整え、特に夏季の熱ストレス対策が重要になります。
知能が高く好奇心旺盛な動物であるため、登り台や丸太・岩などを設置して探索行動を促すことが大切です。単独行動を好む性質を尊重しつつ、他個体との適切な交流スペースも確保することで、飼育下でのストレスを軽減することができます。

ホッキョクグマ(シロクマ)の歴史・起源・生態

ホッキョクグマは進化的にヒグマと非常に近縁な関係にあります。 現在の研究では、アラスカ西海岸のABC諸島に生息するヒグマの一地域集団から分岐して進化したとする説が有力で、かつてはヒグマとの交雑を通じた遺伝的交流が続いていたことも確かめられています。北極圏という極限環境に適応するにつれて、白色に見える体毛や厚い脂肪層、水かき状の大きな前足など、ヒグマとは異なる独自の形質を獲得しました。
現在の推定個体数は約26,000頭で、その約60%の生息地がカナダです。
北極圏の沿岸や島嶼、海氷上を生活圏とし、主にタテゴトアザラシやワモンアザラシなどを捕食します。
秋から冬にかけてメスは雪穴を掘って出産し、子グマは春まで穴の中で過ごします。オスは冬眠を行わず、一年中活動を続けます。
現在、地球温暖化による北極海の海氷消失が最大の脅威です。海氷の減少はアザラシ猟の場を失わせ、ホッキョクグマの栄養状態と繁殖率の低下を引き起こしており、IUCNのレッドリストでは「危急種(VU)」に分類されています。 かつては無制限の狩猟も大きな脅威でしたが、国際的な保護条約の締結によって一時期は個体数が回復した歴史もあります。

ホッキョクグマ(シロクマ)の気を付けたい病気

トリヒナ症(旋毛虫症)、トキソプラズマ症、ネオスポラ症、野兎病、ブルセラ症、犬ジステンパーウイルス感染症、熱中症

ホッキョクグマ(シロクマ)の一口メモ

ホッキョクグマの学名は Ursus maritimus(ウルスス・マリティムス)で、ラテン語で「海のクマ」を意味します。 一生のほとんどを北極海の海氷上や海中で過ごすため、クマ科の中で唯一「海洋哺乳類」に分類されている点は、あまり知られていない事実です。
野生下での狩りの成功率は2%未満ともいわれており、生涯のおよそ半分の時間を獲物を探す活動に費やしています。 とても不利なように思うかもしれませんが、一度獲物を仕留めると数日分の栄養を一気に蓄えることができ、豊食期には大量の脂肪を体に貯め込んで食料の少ない夏を乗り越えます。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師ニノマユ
獣医師ニノマユ
獣医師免許を取得後、都内動物病院にて小動物臨床に従事。その後はペット損保会社にて保険査定や犬猫~エキゾチックアニマルまでの健康相談業務などを担当しておりました。現在は、動物業界の課題について広く視野を持ちたいという想いでweb業界にて働いています。大学時代は動物行動管理学研究室に所属。一番好きなのは羊で繁殖~出荷を経験しました。

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