タスマニアデビルTasmanian devil

タスマニアデビル
カテゴリ 中ぐらいの動物
種類 タスマニアデビル
英語表記 Tasmanian devil
大きさ 50~60㎝
重さ 6~12㎏
平均寿命 野生では5~6年、飼育下では6~7年

タスマニアデビルの特徴

タスマニアデビルは、オーストラリアのタスマニア島にのみ生息しており、現存する中では最大の肉食性有袋類です。
頑丈な体つきと黒い体毛、赤く染まる耳、肩や胸元にある白い模様が特徴的です。
夜行性で、主に死肉を食べるスカベンジャー(腐肉食者)として知られていますが、時には小動物や鳥を狩ることもあります。
また、タスマニアデビルの特徴の一つに強靭な顎の力があります。そのおかげで骨まで嚙み砕くことができ、食べ残しはありません。
そのスカベンジャーとしての食性は、自然の掃除屋として生態系において重要な役割を果たしています。
ほかの動物ではあまり見ない不思議な習性として、獲物の体の中で眠る、つまり腐った死骸(死肉)の中で眠るという習性もあります。
タスマニアデビルの名前の由来は、夜間に発する恐ろしい叫び声やうなり声にあります。
初めてタスマニアに上陸したヨーロッパ人は、その音を悪魔の声と勘違いし、「デビル」という名前がつけられたと言われています。
野生での寿命は5〜6年程度ですが、飼育下ではもう少し長くなることもあります。

タスマニアデビルの性格

タスマニアデビルは夜行性で単独行動を好む習性を持ちます。
日中は巣穴や岩陰で休み、夜になると広い範囲を移動してエサを探します。
基本的にはおとなしい性格ですが、食事中や縄張り争いでは非常に攻撃的になることがあります。
特に食べ物をめぐる争いでは大きな声で威嚇し合い、激しく噛みつき合うこともあるため、ケンカ好きというイメージがつきました。
動物園では比較的穏やかな性格で、落ち着いた環境を好みます。
人間に対しては警戒心が強く、急な接近や大きな音には敏感に反応しますが、慣れると一定の距離感を保ちつつも観察を許すようになります。

タスマニアデビルの飼い方

タスマニアデビルは、その大きさはタヌキほどの小柄な生き物ですが、1日に自分の体重の15%~40%もの食料を食べると言われています。
飼育下でのタスマニアデビルには、野生下と同様に肉中心の食事が必要です。主に鶏肉やウサギ、時には内臓や骨も含めて与え、骨まで食べることで歯やあごの健康を保ちます。
野生では死骸を食べるスカベンジャーとしての役割もあり、腐敗した肉も好んで食べますが、飼育下では新鮮な肉が提供されます。
ストレスを避けるために、隠れ家や複数の通路がある複雑な構造の飼育スペースが必要となります。夜行性であることから、昼間は静かな環境を保ちつつ、夕方以降に活動できるようにライトの調整や給餌の時間が工夫されています。
運動不足を防ぐために、環境エンリッチメントとして餌を隠すなどの刺激も取り入れられています。

タスマニアデビルの歴史・起源・生態

タスマニアデビルは、1996年に初めて発生が報告されたデビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)という致死性の悪性腫瘍により、個体数を大きく減らしました。
DFTDは癌にもかかわらず感染性が高く、疾病の発生が報告されてから10年間の間に個体数は30~40%にまで減少しています。
これらの要因から、タスマニアデビルは国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種(EN:危機)に指定されています。
現在はオーストラリア政府や研究機関、動物園などが連携し、病気に感染していない個体群の繁殖・保護やワクチン開発が進められています。
隔離繁殖プログラムの成果も出始めており、タスマニア本島以外にも保護区域が設けられています。

タスマニアデビルの気を付けたい病気

デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD) 寄生虫感染 外傷感染症

タスマニアデビルの一口メモ

可愛い「悪魔」として有名なタスマニアデビルですが、現在日本国内で会えるのは、東京の「多摩動物公園」のみとなっています。
オーストラリア政府との連携で輸入され、教育・保護啓発活動の一環として一般公開されています。
なお、名前の「デビル」とは裏腹に、見た目は丸っこく、愛嬌のある顔立ちが特徴で、近年ではぬいぐるみやキャラクターグッズでも人気が高まっています。
名前の由来でもあり、恐ろしいと言われる鳴き声は実際に聞くとかなり驚かされますが、それもこの動物の個性の一部として愛されています。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師ゆう
獣医師ゆう
酪農学園大学獣医学群獣医学類卒業。卒業後は二次診療施設を含む複数の動物病院にて勤務。 現在は保護猫活動に力を入れている動物病院において、保護猫を対象として不妊手術や診察をしています。

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