ハシビロコウShoebill

ハシビロコウ
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種類 ハシビロコウ
英語表記 Shoebill
大きさ 110~140cm
重さ 4~7kg
平均寿命 約30~40年

ハシビロコウの特徴

ハシビロコウはアフリカ東部の湿地に生息する大型の鳥で、全長は110~140cm、翼を広げた全長は230~260cmにもなります。
ハシビロコウ最大の特徴は大きなクチバシで、幅広で靴のような形をしています。英名であるShoebillとは「靴のようなクチバシ」という意味です。主に肺魚やナマズなどの魚を捕食し、長時間じっと動かずに獲物を待つ姿から「動かない鳥」として知られています。
基本的に鳴かない鳥ですが、「クラッタリング」と呼ばれる、クチバシをカタカタと打ち鳴らす音でコミュニケーションを取ります。
表情が無表情に見えることもあり、その独特な雰囲気が人気です。
希少種のため、保護対象となっており、現在では動物園などでしかなかなか見られない貴重な鳥です。
寿命は野生で約20〜30年、飼育下では35年以上生きることも確認されています。
眼の周りの色は若い時には黄色ですが、老齢になると徐々に青色に変わっていきます。

ハシビロコウの性格

ハシビロコウは非常に動きが少ないことで有名です。水辺でじっと静止して獲物を待つ、集中力と忍耐力に長けています。
気性は穏やかで攻撃的な面は少ないものの、獲物を捕える瞬間には非常に俊敏な動きを見せます。人間に対しても強い警戒心は見せず、距離を保ちながらも比較的落ち着いた態度をとります。
国内の動物園でも、普段お世話をしてくれている飼育員に対してお辞儀のように首を動かすなど、感情豊かな一面も観察されています。
その一方でハシビロコウは縄張り意識が強く、基本的に単独行動を好みます。
他の個体に対する攻撃性が高いため、動物園などでは単独飼育が推奨されており、同じ鳥舎で複数飼育するとお互いに激しくつつき合い傷つけてしまうこともあります。
また、人間による飼育期間が長くなるほど他個体に対する攻撃性が高まる傾向があり、飼育下における繁殖が非常に難しく、世界でもまだ2例しかないとされています。

ハシビロコウの飼い方

ハシビロコウの飼育は非常に難しく、主に動物園などの専門施設で行われています。
広い湿地状の環境を再現し、水辺や浅瀬、隠れられる植物などが欠かせません。
警戒心が強くストレスに弱いため、静かで落ち着いた環境が求められます。
主なエサは肺魚やナマズなどの生きた魚で、時にはカエルや小型の爬虫類を食べることもあります。生きた魚、つまり動きのある獲物を好んで食べるので、飼育下における給餌には工夫が必要となります。
ハシビロコウは単独行動を好むため、基本的には1羽ずつ飼育され、他の個体との接触は最小限に抑えます。
温度や湿度の管理も重要で、適切な気候を保つ必要があります。このように、ハシビロコウの飼育には専門的な知識と設備が不可欠です。

ハシビロコウの歴史・起源・生態

ハシビロコウは、アフリカの中央部に分布する固有種で、古くから現地の人々に知られている鳥です。
進化的にはペリカンやサギの仲間に近く、かつてはサギ科やコウノトリ科に分類されていたこともありました。現在は単独の「ハシビロコウ科」として分類されています。
生息地である湿地帯は農業や都市開発によって減少傾向にあり、それに伴い個体数も年々減少しています。
国際自然保護連合(IUCN)には絶滅危惧種(VU:危急種)として登録されており、保護対象の鳥類となっています。
野生では現在、推定で5,000〜8,000羽ほどが生存しているとされ、現地では湿地保全や違法捕獲防止のための保護活動が進められています。

ハシビロコウの気を付けたい病気

消化不良 呼吸器感染症 関節炎 寄生虫感染 ストレス性疾患

ハシビロコウの一口メモ

普段はあまり動かず、地上で生活しているハシビロコウですが、まれに空を飛ぶことがあります。全長260mにもなる翼を大きく広げて優雅に飛ぶ様子はまさに圧巻です。
ハシビロコウは日本では東京都の「上野動物園」と静岡県の「掛川花鳥園」、兵庫県の「神戸どうぶつ王国」などで会うことができます。
何を考えているのかわからない独特な表情と突然のすばやい動きのギャップが魅力で、SNSやグッズなどでも人気の高い動物です。

獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師ゆう
獣医師ゆう
酪農学園大学獣医学群獣医学類卒業。卒業後は二次診療施設を含む複数の動物病院にて勤務。 現在は保護猫活動に力を入れている動物病院において、保護猫を対象として不妊手術や診察をしています。

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