ヒグマBrown bear
カテゴリ | 大きい動物 |
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種類 | ヒグマ |
英語表記 | Brown bear |
大きさ | 1.8~2.8m |
重さ | 100~500㎏ |
平均寿命 | 20~30年 |
ヒグマの特徴
ヒグマは哺乳綱食肉目クマ科クマ属の動物です。ホッキョクグマと並び、クマ科の中でも非常に大型のクマです。ユーラシア大陸~北米大陸の高緯度地域に生息しています。日本においては北海道に分布しています。寒地で生息しているイメージの強いヒグマですが、かつては地中海沿岸やメキシコ湾岸などの温暖な地域にも存在していました。しかし乱獲や人間の生活圏の拡大、土地開発に伴って個体数が減少し、生息域を人口密度の低い北方に移していった結果現在の分布域を形成するようになったとされています。針葉樹林を中心とした森林地帯に生息し、昼行性ですが暑い時期には木陰や風通しの良い場所で昼寝をして休みます。ツキノワグマと同じ雑食性で、肉食傾向がかなり強いことが特徴です。ネズミ、イノシシ、鹿などの小~大型の哺乳類動物、鮭・マスといった魚類、果物などが主な対象です。獲物に対する執着心が強いため、ヒグマの獲物を横取りしたり、ヒグマに一度奪われたものを取り返す行為は非常に危険です。日本で最も有名な熊害である「三毛別羆事件」において、被害が拡大した原因の一つはヒグマのすさまじい執着心にあったとも言われています。
ヒグマの性格
クマは基本的に大人しく、臆病な性格をしています。山中で人の気配に気付くと恐怖し、クマ自ら遠くへ離れるように逃げていきます。しかし、子連れの母グマは強気になることが知られています。子グマを連れている場合にはわが子を守るために決して逃げようとせず、人の前に立ちはだかり、攻撃的になるのです。また母グマ以外にも「新世代グマ」と呼ばれる、人や人間社会を恐れない個体の出現が問題視されています。これは、近年ハンターが減ったことで人の恐ろしさを知らないまま大きくなってしまう個体が増えたこと、クマの生活圏と人里との距離が近付いたことで人間社会特有の音や光に耐性が出来て驚かなくなってしまったことなどが原因と考えられています。また、新世代グマではなくても、エサとなるどんぐりなどの凶作により、やむを得ず人里に降りてくるといったパターンも存在するようです。クマには、自分に背中を見せたものや逃げるものを追う習性があります。このため、山中で突然クマに出会っても、クマに対して背を向けて走って逃げ出してはいけないとされています。万が一クマと思わぬ遭遇を果たした場合、クマがこちらに気付いていなければ「静かに後退して距離をとる」、クマがこちらに気付かず近づいてきていれば「木に登るなどして自分の姿を大きく見せる」、人だと認識しても近づいてくる場合は「車内や木の上などに避難する」「大声を出すなどして威嚇」「クマよけスプレーをすぐに使えるように準備する」といった対処法が推奨されています。
ヒグマの飼い方
クマは「動物の愛護及び管理に関する法律」において特定動物にしていされています。特定動物とは「人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物」のことです。令和2年から特定動物は愛玩目的での飼養・保管が禁止されました。そのため、現在は一般家庭においてクマをペットとして飼育することは出来ません。野生のクマは雑食性であり、季節ごとに食べるものを変えながら生活しています。特に甘いものを好みます。視力は弱いですが聴力と嗅覚に優れており、人間の気配については主に匂いで識別していると言われています。大型ですが身体能力に優れています。木登りや泳ぎも得意で、短時間なら時速50㎞程度で走ることが可能です。縄張りのような排他的なテリトリーを持つことはなく、食べ物の多いところでは複数のクマの行動圏が重なります。基本的には行動圏を変えずに生活しますが、ドングリ類などエサが不作の年は食べ物を求めて広範囲に移動することもあります。
ヒグマの歴史・起源・生態
クマは約2000万年前に食肉類から分化し、誕生しました。食肉類とは、ライオンやトラなどの大型のネコ科動物などを含めた動物のグループで、その多くが他の動物を襲って食べる肉食動物です。しかし肉食だったクマの祖先がいつしか雑食化、これにより可能な生息域が大きく広がっていったと考えられています。現在クマは世界に8種存在し、高緯度ほど体が大きくなる傾向にあります。これは表面積あたりの体積が増えることで保温性が高まり、高緯度、つまり寒地での生存に有利に働くためと考えられています。ホッキョクグマ、ヒグマ、アメリカグマ、ツキノワグマ、マレーグマ、ナマケグマ、メガネグマ、ジャイアントパンダの8種の内、日本に生息しているのはツキノワグマとヒグマの2種です。古くから日本においてヒグマの毛皮は海外との交易品として用いられてきました。北海道のアイヌではヒグマはキムンカムイ(山の神)として崇められています。現代では、キタキツネと並ぶ北海道観光の象徴です。木彫りの彫刻に始まり、ぬいぐるみや土産物のお菓子、衣類や文房具など様々な物品に、北海道を代表する動物として描かれ、愛されています。しかしその一方で、「三毛別羆事件」に代表されるように、熊害は決して軽視できない問題でもあります。野生ヒグマによる人、農漁業への被害、鉄道線路への侵入、列車との衝突事故など毎年多くの熊害の報告がなされており、2022年は北海道各地の市街地でのクマの出没が増加し、これによる死傷者が過去最多を記録するなど深刻な状態となっています。
ヒグマの気を付けたい病気
壊死性腸炎など
ヒグマの一口メモ
日本ではクマはペットとして飼育することは出来ません。しかしロシアには、ヒグマと仲良く暮らす有名な家族が存在します。ヒグマの名前は「ステパン」。生後3ヵ月の頃に母グマとはぐれてさまよっていたところをロシア人夫婦に保護され、その後ずっと共に暮らしています。ステパンは夫婦よりもずっと立派な体格のヒグマに成長しましたが、鎖で繋がれたり、檻に閉じ込められるわけでもなく、人の子と同じようにテーブルについて食事をし、庭でガーデニングを楽しんだり、テレビでサッカーの試合を鑑賞したりとのびのびと自由に暮らしています。ヒグマがこのように穏やかで賢明で人によく馴れるのは非常に稀な事例ですが、実はロシア領内ではヒグマは許可なく購入・飼育が可能な動物です。ヒグマの赤ちゃんは5~10万ルーブル(11万~23万※2022年現在)程度で入手が可能です。
獣医師監修
本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。
この記事の執筆者 / 監修者
- 獣医師もも
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北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。
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