マヌルネコPallas’s Cat

マヌルネコ
カテゴリ 中ぐらいの動物
種類 マヌルネコ
英語表記 Pallas’s Cat
大きさ 50~60cm
重さ 3~5kg
平均寿命 8~12年

マヌルネコの特徴

マヌルネコは、ほ乳綱食肉(ネコ)目ネコ科に分類される動物です。イエネコのようにも見えますが、野生のヤマネコの仲間に分類されます。「マヌル」はモンゴルの言葉で「小型のヤマネコ」を指します。その特徴はふさふさの厚い毛。雪の上や凍った地面に接触した際に、体が冷えないように厚い毛で覆われています。短い足、丸い耳、高い目の位置と、外見が特徴的です。目の位置が高くなっている理由は、身を隠せる場所が少ない砂漠やステップなどで陰に隠れ、岩の上から目だけを出して獲物を狙うためです。生息地は、シベリア南部から中国、イラン、アフガニスタン等の標高が高い草原や半砂漠。マイナス50度にもなる厳しい環境に生息しています。

マヌルネコの性格

マヌルネコは、慎重で警戒心が強い性格です。飼育されているマヌルネコも威嚇をしてきたり、物陰に身を隠したりすることがあります。マヌルネコは、いわゆる「イエネコ」ではない野生の「ヤマネコ」の仲間で、飼育員さんでも一筋縄ではいかないようです。例外で、栃木県那須どうぶつ王国で飼育されているマヌルネコ「ポリー」は非常に人懐っこく、飼育員の後を追いかけるという行動をとるようです。野生では、ほとんどが単独行動を好みますが、稀に集団のマヌルネコを見ることができます。

マヌルネコの飼い方

マヌルネコは、「ワシントン条約」の付属書Ⅱに記載されています。付属書Ⅱに掲載されている動物は即座に絶滅するとは考えられないものの、規制しなければ将来的に絶滅の可能性があるとされています。商業取引は不可というわけではないですが、輸出国の許可や手続きが必要であること、国際的に保護されていることから、簡単には購入できません。また、マヌルネコは病原体となる雑菌などがほぼ存在しない高山が生息地です。そのため、免疫力が弱く、一般家庭で飼育すると感染症にかかってしまう可能性が高いです。動物園で飼育員が徹底的に除菌・殺菌をしても感染症にかかってしまうこともあるため、ペットとして飼うのは難しいでしょう。

マヌルネコの歴史・起源・生態

マヌルネコは、約600万年前から生きていると考えられる古いネコで「世界最古の猫」と言われることもあります。生息域は、シベリア南部、イラン、アフガニスタンなど中央アジアです。砂漠やステップのような平地に加え、2500mをこえる高山で暮らしているマヌルネコもいます。野生のマヌルネコが生息する地域は標高が高い地域、マイナス50℃になる地域など、総じて環境が厳しいです。昼夜問わず活動しますが、点滴の猛禽類やキツネを避けるため、狩りは主に明け方と夕方に行います。危険を感じると身をかがめ、じっとして腹這いになります。主にナキウサギ類やハタネズミ類などの齧歯類・鳥類などを食べます。捕食の際は、音を立てずに忍び寄る、草原の中を移動して飛び出た動物を捕食する、巣穴の入り口で待ち伏せするなどの方法で狩りをします。また、マヌルネコの威嚇行動は独特で、片方の唇をつり上げて震わせ、犬歯をむき出しにします。

マヌルネコの気を付けたい病気

トキソプラズマ症

マヌルネコの一口メモ

国際的に保護されていること、免疫力の低い動物であることから、家庭でのマヌルネコの飼育は難しいため、マヌルネコに会いたい際は、動物園へ行きましょう!マヌルネコに会うことのできる動物園は、東山動植物園(愛知)、こども動物自然公園(埼玉)、上野動物園(東京)、王子動物園(兵庫)、那須どうぶつ王国(栃木)、旭山動物園(北海道)、神戸どうぶつ王国(兵庫)です。

マヌルネコに会える動物園はこちらをご覧ください。


獣医師監修

本記事は、信頼性・正確性向上のために、獣医師資格保有者が監修しています。監修者の詳しいプロフィールは下記をご参照ください。

この記事の執筆者 / 監修者

獣医師もも
獣医師もも
北海道大学を次席で卒業し、獣医師資格取得。日本獣医師会会長表彰受賞。
幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
大学卒業後は関東の動物病院で勤務した後、IT企業でWebディレクターとして働いています。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。

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